小麦粉とグルテンの関係。薄力粉と強力粉を使い分けられる理由。

薄力粉と強力粉の違いは、タンパク質含有量の違いです。

小麦のタンパク質含有量は、品種による違いがあります。
「五訂増補日本食品標準成分表」によりますと、「薄力粉:8.0g/100g」「中力粉:9.0g/100g」「強力粉:11.7g/100g」だとされます。

  • 薄力粉:8.0g
  • 中力粉:9.0g
  • 強力粉:11.7g

※100g中のタンパク質含有量

これらの違いは、品種による違いです。
軟質小麦(粉質小麦)からつくられた小麦粉が薄力粉であり、硬質小麦(ガラス質小麦)からつくられた小麦粉が強力粉となります。

以下、詳細を説明していきます。

小麦粉に含まれるタンパク質

小麦粉には、7から14%のタンパク質が含まれています。
小麦粉の主なタンパク質は4種類(アルブミン、グロブリン、グリアジン、グルテニン)であり、グルテニンとグリアジンが80%以上を占めています。

  • アルブミン
  • グロブリン
  • グリアジン
  • グルテニン

タンパク質はグルテンの形成に影響します。
グルテニンとグリアジンが水と結合して絡み合うことにより、弾性や粘性を有する立体的な網目構造(グルテン組織)を形成することになります。

パンに強力粉が用いられるのは、グルテン組織を形成するためです。

グルテン組織の形成と意味

グルテンは、弾性と伸張性を併せ持ちます。
グルテニンには「弾性に富むが伸張性に欠ける」という特徴があり、グリアジンには「弾性に欠けるが粘性や伸張性に富む」という特徴があります。

  • グルテニン:弾性に富み伸張性に欠ける
  • グリアジン:弾性に欠け粘性や伸張性に富む

グルテンの形成は複雑です。
グルテニンとグリアジンが「水素結合」や「ジスルフィド結合」などを介することによって、弾性と伸張性を併せ持ったグルテン組織が形成されます。

パンの骨格はグルテンによってつくられます。
グルテン組織があるからこそ「発酵によって生地が膨らむ」「グルテンが熱凝固することでスポンジ状になる」といったメリットが得られるわけです。

薄力粉と強力粉の違いは、粘弾性の違いであると言えます。
小麦粉は水を加えて練り合わせることでグルテンが形成されますので、グルテンの形成量を考慮して使い分けられることになります。(関連記事:小麦粉の種類と使い分け方

まとめ

薄力粉と強力粉の違いは、タンパク質含有量です。
小麦粉に含まれるタンパク質(主にグルテニンとグリアジン)はグルテン組織の形成に影響を与えますので、薄力粉と小麦粉は使い分けられることになります。

パンづくりに強力粉が用いられるのには、意味があるのです。

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