スパイスカレーは難しいものです。
炒め不足、煮詰め不足、油脂を減らすなどによって、「コクがない」「深みがない」などのように感じられることは珍しくありません。
また、どのようにして「うま味を加えるか?」という問題もあります。
コクという言葉は、極めて曖昧です。
うま味にはグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸といった具体的な例が挙げられますが、コクには「うま味、甘味、とろみ、油脂の量など」多くの要因が関わっています。
以下、詳細の説明です。
スパイスカレーに失敗する理由
繰り返しになりますが、コクという言葉は曖昧です。
コクや深みを感じられない理由には、「うま味が不足している」「粘度(とろみ)が不足している」「油脂が不足している」など多くの要因が関係しています。
市販されているカレーのルーは、絶妙なバランスなのです。
また、確実に押さえておきたいのが油脂です。
インド料理には多くの油脂が使われます。
「スパイスカレー=健康」というイメージがあるために油脂を制限してしまいがちですが、油脂が不足すると「コクを感じられない」ことに直結します。
何かが足りなくなると、途端にコクや深みを感じられにくくなるのです。

スパイスカレーにうま味を加える方法
うま味を加えるためには、3種類の方法があります。
それが、「炒めることによるうま味」「スープストックを加えることによるうま味」「多くの食材を使うことによるうま味」という3種類です。
通常、これらのうま味を組み合わせてカレーをつくります。
炒めることによる(メイラード反応による)うま味
スパイスカレーは、しつこいくらいに炒めます。
「タマネギが飴色になるまで炒める」「トマトの水分がなくなるまで炒める」「とろみがつくまで煮詰める」など、とにかく炒め(または煮詰め)ます。
これは、メイラード反応を利用するためです。
この方法には時間がかかります。
カレーの素(タマネギやトマト、スパイスなどを炒めて水分をとばしたもの)をつくるには20から30分ほどかかりますし、煮詰めるためにも同じくらいの時間がかかります。
この工程を飛ばしてしまうと、うま味のないカレーになりがちです。


スープストックによるうま味
さほど炒めない場合には、スープストックを利用することもあります。
スープストックは、洋風ダシです。
予めストックしておいたブイヨン(肉と香味野菜からとったダシ)を水の代わりに加えることでスパイスカレーにうま味を加えます。
もう一度、レシピを確認してみてください。
しつこいくらいに炒める(もしくは煮詰める)レシピを除けば、間違いなくスープストック(ブイヨン)を利用しているはずです。
コクや深みに与える食感(テクスチャー)の影響力
とろみ(粘度)が不足すると、「コクがない」と感じやすくなります。
通常、スパイスカレーには小麦粉を加えません。
そのため、とろみのために「澱粉を含むスパイスを加える(コリアンダーなど)」「しっかりと煮詰める」などの工程が重要になってきます。
また、油脂を減らすのはおすすめできません。
美味しいスパイスカレーのためには油脂を減らさないことがポイントとなり、油脂を減らしてしまうと「とたんに深みのないカレー」になりがちです。
スパイスカレーを作る時だけは、「健康」や「ダイエット」といった言葉は無視してください。

まとめ
本来、スパイスカレーには深いコクがあります。
しかし、炒める、煮詰める、油脂を加えるなどの工程を飛ばしてしまうと「コクや深みのない美味しくないスパイスカレー」になってしまうことがあります。
レシピを参考にしているのであれば、(面倒な工程を飛ばさずに)書いてある通りにつくってみることをおすすめします。