炊飯における「蒸らし」の意味。澱粉を完全に糊化させる一手間。

炊飯には、蒸らしの行程が必要です。
炊飯(米を炊くこと)とは、米に含まれる澱粉を糊化(α化)させて「柔らかく消化しやすい状態にする」ことです。

澱粉の糊化には、理論上60から65℃の温度が必要です。
しかし、米は丈夫な細胞膜に包まれていますので、芯まで柔らかく糊化させるためには20分以上の加熱が必要となります。

「蒸らし」は澱粉の糊化に必要な行程なのです。

以下、詳細の説明です。

米の澱粉が糊化する条件

澱粉は、60から65℃で糊化(α化)します。
しかし、米の澱粉は丈夫な細胞膜に覆われていますので、芯まで糊化させるためには20分ほどの加熱が必要となります。

ポイントは2点です。

  • 十分な浸水時間を設ける
  • 20分ほどの加熱時間を設ける

吸水が不十分だと、加熱しても糊化しません。
また、浸水時間が十分であっても加熱時間が不十分であれば芯が残ってしまうことになりますので上記2点が重要なポイントとなります。(関連記事:米の吸水時間と吸水率

炊飯の加熱時間

炊飯の加熱時間は、意外と短いものです。
実際に加熱する時間は「10から15分ほどとなる」のが一般的であり、不足分は余熱(蒸らし)によって補うことになります。(関連記事:鍋でご飯を炊く方法

蒸らしの行程を省いてしまうと、芯が残ります。
芯が残る(芯部が糊化していない)ということは、「固く消化できない澱粉が残っている」ということですので、当然、美味しくありません。

「蒸らし」は、想像以上に重要な項目なのです。

土鍋で炊いたご飯が美味しい理由

土鍋は、米を美味しく炊けます。
これは土鍋の持つ「熱伝導率の低さ」と「熱容量(蓄熱性)の高さ」が影響しており、一般的な鍋よりも格段に美味しく炊けます。(関連記事:土鍋ごはんが美味しい理由

「蒸らし」に影響するのは、熱容量の高さです。

土鍋は熱容量の高い鍋です。
加熱を止めても「なかなか温度が下がりません」ので、蒸らしの行程においても「高温を維持できる」ことになります。

蒸らしやすい(芯まで糊化させやすい)鍋であるということです。

まとめ

炊飯には、蒸らしの行程が必要です。

炊飯器であれば自動で蒸らしの行程が行われます。
しかし、鍋を使った炊飯の場合には意識的に蒸らしの時間をとらなければ芯が残る(糊化しない部分が残る)ことになります。

「たかが蒸らし」ですが、「されど蒸らし」でもあります。

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