料理におけるメイラード反応。色と香りの美味しい仕組み。

メイラード反応について説明します。

食品を加熱したり貯蔵したりすると、褐変反応が起こります。
たとえば、肉や魚、パンなどには美味しそうな焼き色がつきますし、味噌や醤油は熟成されることでだんだん色が濃くなっていきます。

これらは、メイラード反応によるものです。

メイラード反応は、香りと色への影響力を持ちます。
メイラード反応によって生成される物質の中には「多数の香気成分」が含まれており、焼き立てのパンから美味しそうな香りがするのはメイラード反応によるものです。

料理とメイラード反応は、切っても切り離せない関係です。

メイラード反応の基本的な仕組み

メイラード反応の出発点は、アミノ酸と還元糖の結合です。
アミノ化合物と還元糖が結合し、その複合体が「分解」「酸化」「重合」などの複雑な反応を繰り返すことで「メラノイジン」と呼ばれる褐色物質が生まれます。

  • アミノ化合物:アミノ酸、ペプチド、タンパク質など
  • 還元糖:ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖など

メラノイジンは、様々な褐色物質の複合体です。
メラノイジンが単一の物質であるというわけではなく、アミノ化合物と還元糖の種類や、加熱温度、熟成期間などによっては異なる味や香りを生み出すことになります。

また、メイラード反応のメカニズムは解明されていません。
「アミノ化合物と還元糖の結合が出発点となる」「複雑な反応を繰り返してメラノイジンになる」ことは確かなのですが、その過程が分かっていないのです。

とにかく、多くの美味しい料理には「メイラード反応が利用されている」ということです。

調理におけるメイラード反応(アミノ-カルボニル反応)

多くの加熱調理には、メイラード反応が利用されています。

もちろん、加熱調理ばかりではありません。
味噌の色合いの違いは「メイラード反応の進行具合」によって生じるものであり、赤みその天然醸造には1から4年かかるのに比べ、白みその熟成は1から3ヶ月ほどです。

しかし、一般家庭におきましては加熱調理が軸になるはずです。

メイラード反応は、高温によって急激に進行します。
揚げ物などは良い例であり、「低温だと、いくら加熱し続けてもきつね色にならない」「高温だと、表面は焦げているのに生焼けになってしまう」などの経験は誰にでもあるはずです。

これは、メイラード反応が150℃以上で急激に進行するためです。

また、調味料の問題もあります。
メイラード反応はアミノ化合物と還元糖の結合が出発点となりますので、糖類を含む調味液に漬け込んでいた肉や魚は「すぐに焼き色がつく」ことになります。

アミノ-カルボニル反応とカラメル化との違い

メイラード反応とカラメル化は、異なる反応です。

両者には、褐色反応という共通点があります。
しかし、メイラード反応が「アミノ化合物と還元糖による反応」であるのに対し、カラメル化は「還元糖と熱による反応」という違いがあります。(関連記事:砂糖のカラメル化

カラメル化は、高温(特に150℃以上)で起こりやすくなります。

  • メイラード反応:アミノ酸+還元糖
  • カラメル化:還元糖+(150℃以上の温度)

メイラード反応とカラメル化は、混同されやすい言葉です。
しかし、異なる反応であることは確かですので、「カラメル化=アミノ酸不在下における糖類の褐色変化」と考えるべきです。

飴色タマネギは、カラメル化ではなくメイラード反応だということです。

まとめ

メイラード反応は、複雑な反応を繰り返して起こる褐色反応です。
反応させるアミノ化合物と還元糖の種類によっては異なる味や香りが生み出されますし、加熱温度や時間によっても違いが生じます。

研究者であっても完全には理解できていませんので、難しく考えすぎないことがポイントです。

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