お米は、重量比で約20~30%の水分を吸収します。
しかし、ばらつきがあります。
20~30%の水分を吸収するというのは一般的なお米(うるち米)の場合であり、粘りの強いお米は多くなりますし、粘りの少ないお米は少なくなります。
たとえば、もち米は約40%もの水分を吸収します。
お米の浸水は、とても大切です。
吸水が不十分であると、澱粉の糊化(α化)がスムーズに進みませんので「にわかだきごはん」と呼ばれる芯の残ったご飯になってしまいます。
お米の吸水は、炊きあがるご飯への影響力が大きいのです。
種類により吸水率が異なる?
◇
お米は、20~30%の水分を吸収します。
浸水後の重量が1.2~1.3倍になることが「お米の中心まで水が吸収されたタイミング」であり、そのときの体積は約1.2倍となります。
吸水量のばらつきは、澱粉の構成の違いによるものです。
お米は、2種類の澱粉で構成されています。
それが「アミロース」と「アミロペクチン」であり、アミロペクチンの比率が高いほどに「吸水量が多い」という特徴を持ちます。
粘りの強い品種ほど、吸水量が多いということです。
いずれにしても、飽和吸水量まで吸水させます。
浸水が不十分であるということは「お米の中心部が乾いている」ということですので、澱粉の糊化がスムーズに行われず芯の残ったご飯になってしまいます。

浸水時間は温度に影響を受ける?
◇
お米の浸水時間は、温度により変化します。
たとえば、一般的な浸水時間(飽和吸水量に達する時間)は30~90分とされますが、30℃の水に浸漬すると約半分の時間で飽和吸水量に達します。
米粒全体が白く濁っていることがポイントです。
お米の浸水時間は、変化します。
水温が変われば浸水時間は大幅に変化しますし、お米の品種や品質(保存期間や保存方法など)によっても変化してしまいます。
基本的には、「米粒の状態をみて判断する」ことをおすすめします。
浸水しない場合は、湯炊き(前炊き)をします。
湯炊きとは「はじめはなるべく弱火にして、沸騰するまでの時間を長めにとる」ことであり、これによって短時間でも飽和吸水量に近づけることができます。
炊飯器によっては、あらかじめ前炊きが組み込まれていることもあります。
長すぎる浸水が良くない理由
◇
お米の浸水時間は、30~90分(または120分)です。
飽和吸水量に達するまでの時間はお米の種類や水温により異なりますが、90分(または120分)以上の浸水はおすすめできません。
長く浸けすぎると、お米の組織が弱まります。
お米の細胞は、水の浸透によって膨潤します。
飽和吸水量に達する頃には細胞全体がパンパンに膨らんでいる状態であり、それ以上水に浸けておいても組織が弱まり崩れやすくなるだけです。
また、雑菌が繁殖するリスクもあります。
お米の成分は、水に流出します。
浸水時の水は「栄養豊富」な状態であり、前日から水に浸けておくような吸水方法だと(季節によっては)雑菌が繁殖してしまいます。
あらゆる面で、長すぎる浸水時間は良くないのです。
まとめ
お米は、吸水させてから炊飯します。
飽和吸水量に達していなければ(中心部の水分が不足するために)澱粉の糊化が不十分になり芯の残ったご飯になります。
しかし、浸水時間が長すぎれば米粒が崩れるリスクもあります。
目安としては、米粒全体が白く濁ることです。
適切な時間に関しては、お米の種類や保存方法、水温などに左右されますので、「夏30分」「冬90分」を目安として適宜コントロールされます。