お米1合の水加減は? 鍋の種類や大きさで変化する理由。

お米の水加減には、基準があります。
それが「お米の重さ×2.5=総重量」であり、大量のご飯を炊く場合などに用いられている水加減の方法です。

しかし、炊飯鍋に対して少量すぎる場合には向きません。

この水加減でご飯を炊くと、硬くなるはずです。
というのも、1~3合程度を炊飯する場合には「水分の蒸発が大きくなる傾向にある」ため、炊き水が不足してしまうことがあるのです。

炊き水が不足してしまうと、焦げ付いてしまったり、澱粉の糊化(α化)が不十分になり硬い炊きあがりになってしまいます。

基本的に、1合の場合には「お米の重さ×2.7=総重量」くらいがおすすめです。

お米をご飯にするためには?

お米は、澱粉の糊化(α化)によってご飯になります。

澱粉の糊化には水分が必要です。
美味しいと感じられるご飯の水分量は「お米の重さが2.3倍前後になること」が重要であり、それよりも多いと軟らかすぎると感じ、少ないと硬すぎると感じます。

お米1合(150g)を、345gのご飯にするというわけです。

澱粉の糊化には時間がかかります。
理論上、澱粉の糊化は60~65℃以上で起こりますが、お米の組織に包まれている澱粉を糊化させるためには「98℃で20分の加熱」が必要です。

ここで問題となるのが、水分の蒸発です。
一般家庭に起きましては「1~3合程度を16~20cm前後の鍋で炊く」ことが多くなるかと思いますが、このような条件だと水分の蒸発量が大きくなります。

「お米の重さ×2.5=総重量」では炊き水が不足するということです。

キッチンスケールを使った水加減

「お米の重さ×2.6~2.7=総重量」をおすすめします。
たとえば1合のお米を炊く場合、(1合を150gと仮定)「150g×2.7=405」となりますので、総重量が405gになるように水加減をします。

これは、炊飯器や炊飯鍋のメモリと同程度になる水加減です。

  • 1合:150×2.7=405g
  • 2合:300×2.6~2.7=780~810g
  • 3合:450×2.5~2.6=1125~1170g

ちなみに、「98℃で20分の加熱」を想定しています。

ご飯の炊き方は人それぞれです。
お米(もしくは料理)の専門家といわれる人たちであっても異なる炊き方をしています(推奨しています)し、炊飯鍋が変われば炊き方や水加減も変化します。

あくまでも、ひとつの目安として考えてください。

MEMO
ご飯の炊き方に関しては、「強火で沸騰→中火で5分→とろ火で15分」を採用しています。これよりも、加熱時間が短い場合には(1合の炊飯であっても)「お米の重さ×2.6=総重量」のようにして調節することをおすすめします。

計量カップを使った水加減

水加減は、重さで管理することをおすすめします。
しかし、キッチンスケールを使うことに抵抗を感じる方も少なくはありませんので、一応、計量カップでの水加減についても説明しておきます。

お米は、洗米によって吸水します。
さらには浸水によって飽和吸水量まで水を吸わせますので、お米の重さや体積は変化し続けることになります。

お米の吸水率は、20~30%です。

吸水率のばらつきは、澱粉の構成が異なるためです。
お米の澱粉にはアミロースとアミロペクチンがあり、アミロペクチンの比率が高いほどに吸水率も高くなります。

以下は、飽和吸水量30%と仮定した場合です。

  • 洗米前のお米1合:150g
  • 洗米後:150g×1.2(吸水率)=180g
  • 浸水後:150g×1.3(吸水率)=195g

当ブログでは、1合の場合には「お米の重さ×2.7=総重量」をおすすめしています。
そのため、計量カップで水加減をする場合には「浸水後のお米1合に対して210mlの水を加える」ことが適切であり、1カップ強ということになります。

しかし、これは20分間の加熱を想定しての水加減です。

多くのレシピでは10~13分の加熱時間を想定しています。
加熱時間が短いということは水分の蒸発分も少ないということであり、1合(180ml)のお米に対して1カップ(200ml)の水が推奨されていることが多くなります。

これは、「お米の重さ×2.6=総重量」に相当する水加減です。

お米の浸水時間と膨張率。吸水にかかる時間とは?お米の種類。品種(銘柄)を選ぶ前の基礎知識について。

炊き込みご飯などでの注意点

炊き込みご飯の水加減には、多少の注意が必要です。

食材の中には水分量の多いものがあります。
たとえば、大根や貝類の水分は「加熱することで外に流れ出ます」ので、これらの食材の水分量を考慮しなければいけません。

しかし、豆類やさつまいもなどは問題ありません。
これらの食材に含まれる水分には「加熱することで澱粉と結びつく」という特徴がありますので、お米の炊き水へは影響を与えないのです。

注意すべきは液体調味料です。
液体調味料(醤油や料理酒など)を加える場合には「炊き水から差し引いておく」ことをしなければご飯の硬さに影響を与えてしまいます。

また、アルコールは早く揮発しますので、多少の注意は必要です。

まとめ

お米には適切な水加減があります。
しかし、「ご飯の炊き方」「炊飯鍋の大きさ」「炊飯鍋の素材」などによっても変化する問題ですので、絶対的な正解はありません。

ご飯は「お米の重さ×2.3」くらいの水分量が好まれます。
それに対して「加熱中に蒸発する水分量を加える」ことになりますので、(特に少量の鍋炊飯の場合には)確実な正解を提示するのは難しい部分があります。

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