米の炊飯とは、米の澱粉を糊化させることです。
澱粉の糊化(α化)が不十分ですと「にわかだきごはん」となりますので、味や消化の悪いご飯になってしまいます。
米の炊飯に必要な手順は、大きく3ステップです。
- 前処理:洗米・浸漬・水加減
- 加熱処理:火加減
- 後処理:蒸らし
最も重要なのが、前処理です。
前処理(洗米・浸漬・水加減)がうまくできていないと、どんなに火加減や蒸らしにこだわったとしても美味しいご飯にはなりません。
以下、詳細を説明します。
前処理:洗米・浸漬・水加減
前処理は、最も重要な項目です。
炊飯器を使っていると軽視してしまいがちな項目ではありますが、土鍋炊飯(または鍋やフライパン炊飯)では前処理が大きな影響力を持ちます。
前処理とは、洗米・浸漬・水加減です。
- 洗米:余分な糠を洗い流す
- 浸漬:米の芯まで吸水させる
- 水加減:水分量の調節
洗米は、米を糠臭くしないための作業です。
糠を含んだ水分が米の内部に浸透しないように「余分な糠だけを洗い流す」ことがポイントであり、間違えると糠臭さが抜けなくなります。(関連記事:米の研ぎ方)
浸漬は、澱粉の糊化に必要な作業です。
澱粉の糊化(α化)には「多量の水分が不可欠」ですので、浸漬が不十分であると生炊き(にわがだきごはん)になってしまいます。(関連記事:米の浸水時間)
水加減は、炊くための水分管理です。
米の糊化には水分が必要ですが、米に含まれる水分量には「大きな幅」がありますので、新米と古米とでは水加減が変わってきます。(関連記事:米一合に対する水の量)
加熱処理:火加減
加熱処理は、米の糊化には欠かせない行程です。
澱粉の糊化(α化)は、60から65℃で起こります。
しかし、米粒芯部の澱粉を糊化させるためには「ある程度の(加熱)時間を要する」ことになりますので、火加減が重要になってきます。
一般的には、15から20分ほどの時間を要します。
後処理:蒸らし
後処理(蒸らし)も、澱粉の糊化に必要な行程です。
「加熱処理で糊化させるのでは?」と思われるかもしれません。
澱粉の糊化(α化)は60から65℃で起こりますので、理論上は「加熱処理にて十分に糊化している」ことになります。
しかし、現実には不十分です。
米の澱粉は細胞膜に被われていますので、20分以上加熱しなければ完全に糊化することはなく、芯が残ってしまうことがあります。(関連記事:米を蒸らす理由)
そこで、「蒸らし(余熱)」が利用されるわけです。
まとめ
簡単にではありますが、炊飯の手順を説明しました。
最近の炊飯器は、多くの項目をコントロールしてくれています。
たとえば、スイッチを入れれば「浸漬」「加熱」「蒸らし」などの項目が自動で行われますので、本来の意味(重要性)を認識できる機会は意外と少ないものです。
しかし、土鍋炊飯や鍋炊飯にチャレンジするのであれば、覚えておくべき項目(各項目の理由)となります。