ムニエルは、小麦粉をまぶして焼きます。
小麦粉にはいくつかの役割があります。
それが「魚からしみだしてくる水気やうまみ成分を保持する」ことと、「小麦粉が焼けることで香ばしい香りとうま味が加わる」ことです。
- うま味の流出を防ぐ
- 香ばしい香りとうま味
小麦粉をふらずに焼くと、単なる焼き魚になります。
また、片栗粉での代用はおすすめできません。
小麦粉と片栗粉とでは含まれる成分に大きな違いがありますので、片栗粉では小麦粉のような味にはならないためです。
以下、詳細を説明します。
うま味の流出を防ぐ
小麦粉は、焼いた際のうま味の流出を防ぎます。
これは小麦粉に含まれる「澱粉」による効果です。
小麦粉をふった食材(魚)は、加熱されることで小麦粉に含まれる澱粉が固まり、食材をコーティングするような働きをします。
これによって、表面がカリカリでうま味のあるムニエルになるのです。
ちなみに、魚の生臭さは牛乳で和らげることができます。
これは牛乳のコロイド粒子が生臭さの原因である「アミン類」や「カルボニル化合物」を吸着するためです。(関連記事:ムニエル用の魚を牛乳に漬ける理由)
香ばしい香りと味
小麦粉は、焼けることで香ばしい香りとうま味が生まれます。
この効果を、「メイラード反応」と呼びます。
メイラード反応はタンパク質(アミノ酸)と糖質(還元糖)が加熱されることで起こる反応であり、食欲をそそる香りとうま味を生み出します。
※メイラード反応(アミノカルボニル反応の一種)
片栗粉ではメイラード反応が起こりにくくなります。
片栗粉は澱粉ですので、うま味の流出を防ぐことはできるのですが、タンパク質(アミノ酸)を含まないために焼き色がつきにくいのです。(関連記事:料理におけるメイラード反応)
しかし、バターにはタンパク質が含まれます。
メイラード反応に関しては「調理法による」としか言えない部分はありますが、食感の違いが生じることからも小麦粉が好まれる傾向があります。
これらの違いから、一般的なムニエルには小麦粉が用いられます。
まとめ
ムニエルには、小麦粉が用いられます。
片栗粉での代用はおすすめできません。
片栗粉は澱粉ですので、加熱時のうま味の流出は防げても、メイラード反応による香りやうま味は生じにくくなります。