コーヒーには泡が立ちます。
ドリップであれば「抽出時には泡立ちによって粉が膨らみます(コーヒードームができます)」し、エスプレッソであればクレマと呼ばれる泡の層ができます。
コーヒーの泡は、コーヒーの美味しさに影響しています。
ドリップでは「抽出時にできる泡を抽出液に落とさない」こと、エスプレッソでは「泡(クレマ)が消えないうちに飲みきる」ことがポイントとされていますが、それらには明確な理由があるのです。
以下、詳細を説明していきます。
コーヒーにできる泡の正体
コーヒーにできる泡の正体は、炭酸ガスです。
焙煎時には、二酸化炭素を主成分とするガスが生成されます。
そのガスがコーヒー豆の内部にまで溶け込んでいますので、抽出時には溶け込んでいたガスが放出されることで泡立つ(粉が膨らむ)ようになります。
エスプレッソは、高圧で抽出されます。
高い圧力(約9気圧前後)によって抽出されますので、ガスは抽出液に溶け込み、圧力から解放されたタイミングで泡(クレマ)となって放出されます。
エスプレッソのクレマは、抽出後にできるということです。(関連記事:エスプレッソのクレマの作り方)
泡のできないコーヒーは美味しくない?
泡の有無は、コーヒーの美味しさに深く関わっています。
コーヒーにできる泡の正体は、炭酸ガスです。
炭酸ガスは時間の経過とともに抜けていきますので、「泡立たない=焙煎してからの保存期間が長い」と言い換えられます。
すなわち、「経時劣化している可能性が高い」ということです。
焙煎後の経時劣化には、3パターンがあります。
一つ目が「加水分解」、二つ目が「揮発性物質(香りや炭酸ガス)の消失」、三つ目が「油脂分(脂肪酸)の酸化」です。
いずれの項目も、コーヒーの味に大きな影響力を持ちます。
泡がコーヒーを美味しくする仕組み
コーヒーにできる泡は、コーヒーの雑味を吸着します。
泡には、「気泡分離」と呼ばれる仕組みあり、ある一定の成分のみを「泡が吸着して分離させる」ことができるような働きです。
ドリップで泡を抽出液に落とさないことが重視されるのは、「吸着された雑味を取り除く」ためのポイントなのです。
一方、エスプレッソでは雑味を吸着した泡が残ります。
「雑味を感じるのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、エスプレッソの細かく泡立ったクレマ(気泡)には、「口当たりを軽くする」などの働きがあるために雑味を感じにくくしてくれます。
エスプレッソは「クレマが消えないうちに飲み終えること」とされているのは、こんな仕組みが関係してのことなのです。
まとめ
コーヒーの泡は、美味しさの指標になります。
まず「泡立つ=鮮度が落ちていない」ということになりますし、「泡には雑味を吸着してくれる働きがある」ことも重要なポイントです。
たかが泡ですが、されど泡でもあるのです。