昆布だしは、(基本的に)沸騰させません。
これは昆布のうま味成分だけを引き出して、その他の成分(雑味などの不要な成分)の溶け出しを防ぐためのテクニックです。
もちろん、沸騰させても食べることはできます。
しかし、昆布だしをとるときに沸騰させてしまうと「雑味」「とろみ」「着色(黄色味)」などがでてしまいますので、基本的には沸騰させません。
以下、詳細を説明します。
昆布のうま味
昆布のうま味は、グルタミン酸とマンニットです。
前者はアミノ酸、後者は糖類であり、この2つが昆布から抽出できるうま味(だし)の主役になっています。
- グルタミン酸
- マンニット(マンニトール)
しかし、昆布には複数の成分が含まれています。
昆布だしを沸騰させると、「ぬめり」の原因となるアルギン酸などが溶け出しますし、「着色(黄色味)」の原因となる色素も溶け出します。
これらの成分は、繊細な料理であるほど好まれません。
昆布の細胞(組織)
昆布の細胞は、熱によって崩れます。
これは昆布にはセルロースや細胞をつなぎ合わせるペクチン質(食物繊維)が少ないためであり、加熱によって崩れやすくなります。
煮込まれた昆布がドロドロになるのはこのためです。
昆布だしは、うま味だけを抽出します。
そのためには細胞(組織)が壊れてしまってはいけませんので、「水でとる」「沸騰する前に取り出す」などのテクニックが用いられるわけです。
しかし、料理によってはこの限りではありません。
うま味(グルタミン酸やマンニット)以外の成分が邪魔にならない味つけの場合、だし昆布を入れたままにしても気にはならないはずです。
まとめ
昆布だしを沸騰させないのは、うま味だけを抽出するためです。
うま味以外の成分は、「雑味」「とろみ」「着色(黄色味)」の原因になりますので、繊細な料理ほどこの点が重視されます。