パン生地をこねすぎるとどうなる? ミキシング過剰の欠点。

パン生地をこねすぎると?

パン生地は、小麦粉と水をこねて作ります。
パン生地をこねることをミキシングと呼びますが、パン生地のミキシングには(作りたいパンに応じた)適切な状態がありますので、生地の状態を見極めることがポイントです。

一般的に、ソフトなパンは良くこね、ハードなパンはあまりこねません。

これは、グルテンをコントロールするためです。
しっかりとグルテンの生成されたパン生地は良く膨らみボリュームのあるパンになりますが、ハード系のパンの場合には(食感や熟成の点からも)都合が良くありません。

また、オーバーミキシングのリスクがないわけでもありません。

こねすぎるとどうなるか?

パン生地は、基本的には良くこねます。
こねることでグルテンが形成されて(イーストの生成する炭酸ガスを包み込むことにより)膨らみますので、グルテンが形成されなければ扁平な焼き上がりになります。

ただし、「良くこねればよい」というわけでもありません。
パン生地をこねすぎてしまうと過度にボリュームが出てしまいますので「パサパサとした食感の味気ないパン」になってしまいます。

また、さらにこね続けてしまうとグルテンの弾性が弱まるためにちぎれやすくなり、それを過ぎるとドロドロとつかむことさえできない状態になります。

これらは、オーバーミキシングと呼ばれる状態です。

しかし、手ごねでのパン作りでは心配いりません。
手ごねでのミキシングはこねる力が弱いために「オーバーミキシングになるリスクは限りなく低い」ものですので、こねすぎてしまう前に疲れてしまうはずです。

手ごねで生地の状態が悪くなるのは、オーバーミキシングよりも(こね上りまでに時間がかかりすぎたことによる)生地ダレが原因になっていることがほとんどです。

パン作りのこね方パン作りのこね方。リッチとリーンでのミキシングの違い。

手ごねのパン生地がだれやすい理由

パン生地は、ミキシングによりグルテンが形成されます。

グルテンは、パンの骨格になります。
質の高いグルテンを形成するためには「緊張と弛緩を繰り返す」ことがポイントとなり、それによって密度の高い網目構造を形成することになります。

緊張と弛緩には、メリハリが大切です。

ミキシングでのグルテン形成には段階があります。
それが、「材料の混合段階」「生地のつかみ取り段階」「生地の水切れ(水和)段階」「生地の結合・完成段階」の4段階です。

  1. 各材料を混ぜ合わせた段階
  2. 生地を引っ張るとちぎれる段階
  3. 生地表面のべたつきがなくなる段階
  4. グルテンにより薄い膜を作れる段階

手ごねでグルテンを形成させるには時間がかかります。
もちろん、作りたいパンの種類による違いはあるのですが、ソフトなパンを作るためには「かなりの体力を必要とする作業」となります。

時間がかかりすぎてしまうと生地がだれます。
これは、グルテンの形成(一次構造→二次構造→三次構造→四次構造)の間に休憩をはさんでしまうことにより、中途半端な状態で生地が弛緩してしまうためです。

中途半端な段階での弛緩(生地ダレ)を防ぐためにも、ソフトなパンを焼く場合にはホームベーカリーやミキサーの使用が好まれています。

まとめ

パン生地のこねすぎは良くありません。
膨らみ過ぎてパサパサなパンになりますし、さらにこね続けると「グルテンの弾性が失われてちぎれやすいパン生地」になります。

しかし、手ごねでオーバーミキシングになることはありません。
手ごねで生地の状態が悪くなる原因の大半は「こね不足」か「ミキシングに時間がかかりすぎたことによる生地ダレ」です。

もちろん、あまりこねる必要のないハード系のパン生地をこねすぎてしまうことはあるかと思いますが、その場合には「膨らみ過ぎてパンが割れてしまう」などの現象が起こります。

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