パン生地の適切な水分量は? 加水率による違い。

パン生地の水分量

パン生地は、小麦粉に水を使えて作ります。

ポイントとなるのが加水率です。
小麦粉に加える水の量(仕込み水及び全水分量)は生地の状態や焼き上がったパンの仕上がりへの影響力を持ちますので、適当ではいけません。

多くのパンは、60~80%の範囲内で作られます。

しかし、60%と80%では大きく違いますよね?
また、リッチな生地(副材料の割合の多い生地)の場合には副材料の水分含有量も考慮しなければいけませんので複雑になります。

以下、加水率の違いによる主な特徴を説明していきます。

水分量の違いによる扱いやすさ

水分量60%は、かなり少ない加水率です。

まず、パン生地がまとまるまでに時間がかかります。
そして、ミキシングによってパン生地の表面はなめらかになるものの、グルテンの膜が分厚くちぎれやすくなります。

水分量の少ない生地は、膨らみにくいことが特徴です。

しかし、扱いやすいというメリットもあります。
たとえば、初心者用のレシピでは(膨らみにくさを犠牲にしてでも)パン生地の扱いやすさを重視しますので、水分量を減らして作られることが多くなります。

反対に、水分量80%はかなり多い加水率です。
水分量が多いため早くに生地がまとまることにはなりますが、(手ごねの場合)しばらくは手にまとわりついて扱い難さを感じられるはずです。

メリットとして、グルテンの膜が薄く伸びやすくなることがあります。

水分量の多い生地は、膨らみやすいことが特徴です。
グルテンの膜が薄くなります(透き通るくらいになります)ので、パン生地の扱いにくさはあるものの膨らみやすく軽い食感のパンになります。

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クラムとクラストの食感は?

水分量は、食感に影響を与えます。
たとえば、ハードなパンは水分量を少なくして重い食感を重視しますし、ソフトなパンは水分量を多くして軽い食感を重視します。

これは、水分量がクラムとクラストの質に違いを生じさせるためです。

  • 水分量が少ない:目の詰まったクラムと、厚いクラスト
  • 水分量が多い:ふわふわとしたクラムと、薄いクラスト

このことからも、食パンなどソフト系のパン生地には水分量を多くし、カンパーニュなどのハード系のパン生地には水分量を少なくすることがセオリーとなっています。

しかし、上記はあくまでも水分量のみでの比較です。
ソフト系のパンには副材料(油脂など)が豊富に含まれますので、同じ水分量であってもハード系のパン生地よりも(伸展性が良いために)良く膨らむことになります。

水分量は、好みに応じて変えていくものなのです。

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まとめ

パン生地の水分量は、60~80%ほどでコントロールされます。
水分量が少なくなるほどに「詰まったクラムと厚いクラスト」になり、水分量が多くなるほどに「ふわふわとしたクラムと薄いクラスト」になることが特徴です。

たとえば、「もう少しクラストを厚くして食べ応えを出したい場合」には水分量を減らしてパン生地を膨らみにくくしますし、「もう少しふわふわさせたい場合」には水分量を増やしてパン生地を膨らみやすくします。

水分量の調節によって、ある程度は理想とするパンに近づけることができます。

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