パン作りには、低温発酵があります。
低温発酵とはその名の通り「低温で発酵させること」であり、一般的には冷蔵庫(主に野菜室)に2~24時間ほど置いて発酵させる方法のことを指します。
オーバーナイトと呼ばれることもあります。
通常、リッチなパンに用いられる手法です。
しかし、ハード系の田舎パン(カンパーニュなど)にも使えるテクニックですので、「夜にこねて朝に焼く」ようなことを可能にしてくれる技術でもあります。
以下、詳細の説明をしていきます。
低温発酵のメリットは?
低温発酵は、低温で長時間発酵させます。
それにより、「生地の水和状態がよくなり伸展性に優れた生地になる」「発酵産物(二酸化炭素、エタノール、有機酸類)のコントロールがしやすい」などのメリットが得られます。
通常、折り込み生地やリッチなパンに用いられる手法です。
折り込み生地の場合は「冷やすことで生地と油脂を同じ硬さにする」ことが重要ですし、リッチな生地の場合には「油脂量が多くても扱いやすい生地になる」ためです。
しかし、ハード系のパンにもメリットがあります。
たとえば、カンパーニュ。
カンパーニュは田舎風パンとも呼ばれるリーンなハード系のパンですが、低温発酵させることで発酵産物の特徴(バランス)に変化をつけることができます。
気に入るかどうかは分かりませんが、試してみる価値はあります。
条件(温度や時間など)は?
低温発酵には、ある程度の条件があります。
いくら低温長時間発酵とは言っても、温度が低すぎればイーストの活性が低下しすぎてしまいますし、発酵時間が長すぎれば過発酵になって風味が損なわれます。
- 温度:5~10℃
- 時間:2~24時間
上記は、セオリーとされる条件です。
そのため、冷蔵庫よりも野菜室が好まれますし、時間に関しては一晩(8時間前後)を基準に考えらえることが多くなります。
こね上げ温度などによっても差異が生じますので、まずはつくりやすい条件で試してみることをおすすめします。
意外と便利なテクニックです。
私の場合ですとカンパーニュの発酵に取り入れることがありますが、翌朝に焼けない場合であってもパンチを入れておけば焼成までの時間を延ばすことができます。

まとめ
パン作りには、低温発酵というテクニックがあります。
通常、発酵は30℃前後で行われます。
しかし、パンの発酵(イースト)は5~10℃であっても緩やかに進みますので、夜にこねて翌朝に焼くようなことが可能となります。
また、通常とは異なる発酵産物のバランスになることも魅力のひとつです。