パン生地には、食塩を加えます。
食塩添加には、2つの目的があります。
それが、「調味目的(パンに塩味をつける)」ことと、「グルテンを引き締める(パン生地の腰を強くする)」ことです。
なお、無塩パンも存在します。
しかし、食塩を添加しないパンの多くは病院食としてのものですので、味や作業性の問題からも食塩を添加して作るのが一般的です。
以下、詳細の説明をしていきます。
調味目的の食塩添加とは?
食塩を添加すると美味しくなります。
これは、単純な問題です。
人間の味覚には「体液の塩分濃度に近いものを美味しく感じる」という性質があり、食塩添加されていないパンを美味しいと感じることはありません。
そのため、適量の食塩を添加します。
しかし、食塩の種類には多少の注意が必要です。
食塩の主成分は塩化ナトリウム(NaCl)ですが、精製塩が99.5%以上であるのに対し、粗塩などは95.0%以上ですので、使用量が多くなるほどに誤差が生じることになります。
とはいっても、大きな問題ではありません。
パン作りに用いられる食塩量はベーカーズパーセントで1~2%ほどであるはずですので、家庭で作る分量であれば大きな問題にはならないのです。
たくさん作る場合には、多少の注意は必要になることもあります。
パン生地が強化される仕組み
食塩を加えると、グルテンの粘弾性が増します。
そのため、食塩を加えていないパン生地には「ベタベタしていて締まりがない」「膨らみにくく発酵の状態を判断しにくい」などのデメリットが生じます。
当然、作業性も悪くなります。
これは、食塩がグルテンの構造を引き締めるためです。
しかし、食塩の添加量が多すぎるとイースト(酵母)の働きを阻害してしまいますので、通常はベーカーズパーセントの1~2%程度が添加されます。
食塩を添加しない場合、ビタミンCを用いることもあります。
ビタミンCなどの酸化剤には「(食塩と同様に)パン生地を引き締める効果」がありますので、無塩パンを作る場合には欠かすことのできない材料です。
食塩を加える場合、(通常は)必要ありません。
まとめ
パン生地には、食塩を加えます。
食塩には焼き上がったパンの風味を向上させるほか、グルテンを引き締めて粘弾性を高め、全体的にコシの強い生地にするという効果があるためです。
通常、ベーカーズパーセントで1~2%程度を添加します。
食塩を加えなくてもパンはつくれます。
しかし、無塩パンはお世辞にも美味しいものではありませんし、パン作りの作業性も悪くなることから、病院食以外で作られることは稀です。