パン作りには、強力粉が好まれます。
もちろん、意図的に準強力粉を使ったりする場合もありますが、ふわふわしたボリュームのあるパンを焼くためには強力粉でなければいけません。
また、国産よりもアメリカ及びカナダ産が好まれます。
これは、タンパク質含有量が異なるためです。
パン作りには小麦タンパクが重要ですが、国産小麦やヨーロッパ小麦には「タンパク質が少ない」という欠点があるためにアメリカ及びカナダ産小麦が好まれています。
以下、詳細の説明をしていきます。
パン作りに強力粉を用いる理由
パン作りには、強力粉が好まれます。
パン作りには、小麦タンパクが利用されます。
強力粉と薄力粉の違いは「タンパク質含有量」であり、小麦タンパクには粘弾性を持つグルテンを生成するために欠かすことのできないグリアジンとグルテニンが含まれています。
- グリアジン:弾性に富む小麦タンパク
- グルテニン:粘性と伸張性に富む小麦タンパク
これらをこねると、粘弾性に優れたグルテンになります。
パン生地は、イーストの生成する炭酸ガスにより膨らみます。
伸張性のある網膜組織を形成しているグルテンは、膜を作ることで炭酸ガスを保持し、パン生地を膨らませてスポンジ状のふっくらしたパンをつくります。
強力粉は小麦タンパクを豊富に含む小麦粉ですので、グルテンの形成に都合がよいのです。

強力粉でなければ作れない?
小麦粉には、種類があります。
一般的な分類としては、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉の4種類があり、これらの違いはタンパク質含有量により分けられています。
- 薄力粉:6.5~8.5%
- 中力粉:8.0~10.5%
- 準強力粉:10.5~12.0%
- 強力粉:11.5~14.5%
いずれの小麦粉でも、パンを作れます。
しかし、パン生地を膨らませてボリュームを出すためには小麦タンパク(グルテン)が必要不可欠なものとなりますので、薄力粉を使用すると確実に膨らみが悪くなります。
このことからも、パンには強力粉(もしくは準強力粉)が用いられます。
国産よりもアメリカ及びカナダ産?
パン作りには、アメリカ及びカナダ産小麦が好まれます。
これは、アメリカ及びカナダで収穫された硬質小麦には「国産及びヨーロッパ小麦よりもタンパク質含有量が多い」ことが関係しています。
アメリカ産小麦の方が膨らみやすいということです。
しかし、ハード系のパンには適しません。
適さないというのは乱暴ではあるのですが、ハード系のパンの場合には意図的にミキシングを短くして膨らみにくくします。
あえてアメリカ産小麦を使うメリットは小さいのです。
このことからも、小麦粉は使い分けられます。
軟らかくてふっくらしたパンを作る場合にはアメリカ及びカナダ産、しっかりと噛み応えのあるパンを作る場合には日本及びヨーロッパ産といった具合です。
近年、ハード系のパンが人気になってきていることや、国産小麦の品質改良が進んでいることからも(パン作りにおける)国産小麦が見直されつつあります。

まとめ
パン作りには、主に強力粉を用います。
これは、強力粉には小麦タンパクの含有量が多く、グルテンのもととなるグリアジンとグルテニンが豊富に含まれているためです。
もちろん、強力粉以外の小麦粉を使用することもあります。
強力粉を用いるのは、生地を膨らませるためです。
生地の膨らみを重視しないハード系のパン(カンパーニュなど)の場合には必ずしも強力粉である必要はなく、タンパク質含有量の少ない国産小麦が用いられることもあります。