パン作りでは、小麦粉をこねます。
パン生地をこねることにより小麦タンパク(グリアジンとグルテンニン)をグルテンと呼ばれる粘弾性を帯びた網膜組織に変化させます。
しかし、必ずしも良くこねるとは限りません。
こね方は、パンの種類により異なります。
たとえば、ボリュームを出すパンの場合には良くこねてグルテンを強化しますが、ボリュームを出さないパンの場合にはあまりこねません。
生地のミキシングは、一様ではないのです。
パン生地をこねる目的とは?
パン生地は、こねます。
小麦粉に水を混ぜた生地(パン生地)をこねることにより小麦タンパク(グリアジンとグルテンニン)が粘弾性を持つ網膜組織(グルテン)に変化するためです。
グルテンが生じるからこそ、パンは膨らみます。
グルテンがなければ、パンは膨らみません。
パン生地は、イーストの生成する二酸化炭素(炭酸ガス)をグルテンの粘弾性によってとどめて膨らませていますので、グルテンがなければ炭酸ガスが抜けてしまうためです。
また、グルテンは生地のこね方により変化します。
良くこねられた生地はグルテンが強化されるために膨らみが良くなりますが、こね不足のパン生地はグルテンが貧弱であるために膨らみが悪くなります。
しかし、必要なグルテンの強さにはパンの種類による違いがあります。
リッチなパンは良くこねる理由
リッチなパンは、よくこねます。
リッチな配合で作られるパンの多くには「ソフトでボリューム感のあること」が好まれますので、生地を良くこねることでグルテンを強化しておくことがポイントとなります。
この手のパンは、高速でミキシングします。
高速でミキシングすることで、グルテンが強化されます。
強化されたグルテンは細かな網目構造と弾力性、伸びの良い生地になりますので、よく膨らむソフトなパンになります。
手ごねで作るには、労力のいるパンであると言えます。
リーンなパンはあまりこねない理由
リーンなパンは、あまりこねません。
リーンなパンとは主に主材料(小麦粉、水、塩、イースト)のみで作られる硬焼きパンのことであり、田舎パン(カンパーニュ)などは代表的なリーンなパンに分類されます。
リーンなパンには、しっかりとした食感が求められます。
やや硬めの生地をつくり「あまり大きくは膨らませない」ことがポイントであり、そのためにはあまりこねずにグルテンを強化しないことがポイントとなります。
この手のパンは、低速でミキシングします。
低速で短時間のミキシングです。
生地の水切れ段階が完了した程度のミキシングでOKであり、こねすぎてしまうと膨らみやすくなりリーンなパン特有の食感や風味が生まれにくくなります。
ミキシング不足のため、ややべたつく生地になります。
そこで、(ソフトなパンよりも)低温長時間での発酵をさせることにより生地を熟成させて扱いやすくします。
カンパーニュに長時間発酵が好まれるのはこのためです。
まとめ
パン生地は、こねることでグルテンを生成します。
グルテンとは、弾性の富むグルテニンと粘性や伸張性に富むグリアジンが粘弾性を併せ持つ網目構造に変化したものです。
グルテンがあるからこそ、パン生地が膨らみます。
しかし、パン生地のこね方は一様ではありません。
良く膨らませたいソフト系のパンの場合には良くこねますが、あまり膨らませたくないハード系のパンの場合には生地がなじむ程度にとどめます。
この違いが、焼き上がりの食感に影響を与えます。