パン生地は、休ませることで緩みます。
ベンチタイムと呼ばれる工程です。
通常、生地の分割や丸めた後にとられる工程であり、ベンチタイムを挟むことにより生地がゆるんで成形しやすくなります。
ベンチタイムがなければ、成形できません。
丸めた生地を成型しようとすると、生地の弾力が強すぎるために「すぐに縮んでしまって形を作れない」ことになります。
強引に成型しようとすると生地の表面が荒れてしまったり、切れてしまったりしますので、ベンチタイムによって弾力を緩めてから成形するのが一般的です。
ベンチタイムの目的は?
ベンチタイムは、生地を緩ませます。
こねた直後や丸めた直後のパン生地には(グルテンが強化されることによる)強い弾力性がありますので、すぐに縮んでしまって成形することは困難です。
そこで、生地を休ませて緩ませます。
パン生地には、グルテンによる粘弾性があります。
グルテンには物理的刺激によって弾力性が増すという特徴がありますので、休ませることで弾力性が低下し、その結果、伸張性が増すことになります。
生地がゆるんで伸ばしやすくなるというわけです。
ベンチタイムの効果は、すぐに分かります。
弾力性が強く(ある意味)ゴムのような感触であったパン生地に伸張性(伸びる性質)が生まれますので、成形しやすくなります。
特に、ミキシング時間の長いリッチなパンの場合にはこの傾向が強くなります。

ベンチタイムの条件とは?
ベンチタイムは、10~15分ほど休ませます。
丸めた生地を作業台の上で休ませていたことから「ベンチタイム」と呼ばれていますが、実際には発酵器などに入れて休ませるのが一般的です。
これは、ベンチタイムも発酵の一部であるためです。
ベンチタイムであっても、生地は膨らみます。
その際、温度が高すぎれば発酵過多になりますし、温度が低すぎれば発酵過少となりますので、発酵庫に入れて管理することが推奨されています。
パン生地を休ませるためにも、温度と湿度が重要なのです。
まとめ
パン生地は、休ませることで緩みます。
こねた後や丸めた後のパン生地には強い粘弾性がありますので、成形する前などにはベンチタイムを置くことにより伸張性を高めて成形しやすくします。
しかし、ベンチタイムも発酵活動の一部です。
温度や湿度の条件が悪すぎるとパン生地の発酵に悪影響を及ぼしてしまいますので、発酵器などで休ませるのが一般的です。
室温管理の場合は、温度による微調整が必要になります。