パン表面の切れ目を、クープと言います。
一般的には成形したバゲットやカンパーニュなどの表面に切れ目を入れることであり、「クープを入れる」と表現されます。
クープの目的は、大きく3点です。
それが、「生地内部の圧力を逃がすことで膨張による割れを防ぐ」こと、「火の通りを良くする」こと、「デザインをつけることで見た目を良くする」ことです。
クープは、クープナイフなどで入れます。
クープを入れるには、技術を要します。
はじめは上手くいかないでしょうし、クープの深さが不均一であると見た目も良くありませんので、練習を重ねるしかありません。
ちなみに画像は、失敗ですね。
クープの入れ方は?
クープは、深さを均一にします。
均一な深さにすることで、焼成後には「順序良く重なり合うように表皮が剥がれる」ような見た目の美しいクープになります。
中央部のみが深くならないように注意します。
多くの失敗は、中央部が深くなることで起こります。
中央部のクープ(切れ込み)が深すぎると、焼成時に膨張によって中央の生地が盛り上がって飛び出してしまうようになります。
意外と神経を使う作業です。
きれいなクープをつくるには?
きれいなクープには、条件があります。
もちろん、クープの深さは重要です。
しかし、上手く切れ込みが入れられたとしても、「生地の状態(グルテン形成量や水分量)」「焼成時の水蒸気量」などによってクープの形状は変化します。
以下は、きれいなクープの条件です。
- 切れ込み(クープ)の深さ
- 生地の水和やグルテン形成
- 霧吹き(スチーム)の量
切れ込みは、均一に入れます。
切れ込みの深さが不均一であると「深い部分のみが割れてしまう」ことになりますので、見た目の美しいクープにはなりません。
次に、生地の水和とグルテン形成です。
クープを入れるパン(リーンでハードなパン)の多くは、他のパンよりもグルテン形成の重要性が低いためにミキシングを短時間で済ませます。
しかし、あまりにもミキシングが短すぎると生地が膨らみにくくなります。
最後に、霧吹き(スチーム)です。
スチーム量は多すぎても少なすぎても良くなく、多すぎれば微粒水滴によって生地がくっついてしまいますし、少なすぎれば乾燥によって割れにくくなります。
条件を変えながら、繰り返し試してみるしかありません。
まとめ
ハード系のパンには、クープを入れます。
クープとは切れ目のことであり、これによって「形がくずれるのを防げる」「火の通りがよくなる」「デザイン性が向上する」などのメリットが得られます。
しかし、美しいクープを作るのは簡単ではありません。
「クープの深さと形状」「生地の水和とグルテン形成」「霧吹き(スチーム)の量」などの様々な要因が関わっています。
オーブンの個体差の問題もありますので、条件を変えながら練習するしかありません。