料理には、適切な火加減があります。
レシピには、当然のように「強火で沸騰するまで」「弱火に落として15分」などのように表記されていますよね?
火加減は、想像以上に重要であることがあります。
たとえば、料理の硬さ。
野菜を構成するペクチンには「保持される温度によって硬さが変わる」という特徴があるため、火加減によっては異なるテクスチャーになることがあります。
強火と指示されている場合には、強火でなければいけないのです。
強火とは?
強火とは、鍋底全体に炎のあたる状態です。
火加減は、鍋底の大きさに影響を受けます。
強火は「鍋底全体に炎のあたる状態」ですので、16cmの鍋と26cmのフライパンとでは違っていて当たり前だということになります。
炒め物や煮汁を沸かすときは、(基本的には)強火です。
グラグラと表現されることもあります。
強火で湯(煮汁)を沸かすと大きな気泡の強い沸騰が起こりますので、食材が動いてしまうために煮物には好まれません。
ちなみに、鍋底から炎がはみ出るのは強火としても強すぎます。
中火とは?
中火とは、鍋底にギリギリ炎のあたる状態です。
特に指示のない場合は、中火を用います。
中火で加熱すると(煮物の場合であれば)中の材料がゆるく動くくらいの火加減となりますので、強火のように煮くずれすることもありません。
このため、フツフツと表現されることもあります。
もっとも使用頻度の高い火加減です。
使用頻度の高い火加減であるからこそ、中火と呼ばれる「鍋底にギリギリ炎のあたる状態」は確実に覚えておく必要があります。
調理に慣れていないと、強くしすぎてしまう傾向があります。
弱火とは?
弱火とは、鍋底に炎のあたらない状態です。
一般的には「炎が火元と鍋底の半分くらいになる火加減」のことを指し、煮物であれば中の材料がほとんど動かないくらいの火加減になります。
コトコトと表現されることもあります。
煮込み料理は、コトコトと煮込みますよね?
コトコトと煮込めば「食材が煮くずれにくい」「煮詰まることなく味をしみ込ませることができる」などのメリットが得られます。
じっくり煮込む料理には、弱火を用います。
とろ火とは?
とろ火とは、炎が消えるか消えないかの状態です。
とろ火は、保温の意味合いが強くなります。
炊飯(お米の澱粉を糊化させること)には「98℃で20分以上の加熱が必要」とされていますが、とろ火でなければ炊き水が不足してしまいます。
また、煮汁の少ない蒸し煮などにも用いられます。
意外と出番の多い火加減です。
しかし、鍋の容量や材質によっては「とろ火では温度を保てない」こともありますので、適宜、調節が必要になる場合もあります。
これには、比熱が関わっています。
たとえば、鉄とアルミとでは鉄の方が比熱に優れていますので、少ないエネルギーで温度を維持しやすいということになります。
煮込み料理に鋳物琺瑯鍋などが好まれるのは、温度の維持が容易であるためでもあるのです。
まとめ
料理には、適切な火加減があります。
一般的には、強火、中火、弱火、とろ火に分類され、条件をそろえることでレシピの再現性が高くなります。
火加減は、想像以上に重要な項目となります。