文化鍋を使ったご飯の炊き方を説明します。
文化鍋は、炊飯専用の鍋です。
アルミ製の深鍋で「吹きこぼれを防ぐために蓋が低い位置に納まるような形状」をしていることが大きな特徴であると言えます。
当ブログでは、文化鍋をお勧めしています。
文化鍋は、さっぱりとしたご飯になります。
土鍋や鋳物琺瑯鍋で炊いたご飯と比べると「甘味が少なく食べやすい」ことが特徴であり、そのようなご飯を好む方には心からおすすめできます。
また、軽くて扱いやすいのも大きなメリットだと感じています。
文化鍋を使ったご飯の炊き方
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文化鍋は、炊飯用の鍋です。
ご飯を炊くことに特化しているからこそ「吹きこぼれの心配がない」「日常的に扱いやすい鍋である」ことなどのメリットがあります。
以下、ご飯を炊く手順の説明です。
お米を計量します。1合(180ml)は約140~150gですが、お米の重さは水加減に影響しますので、1合であれば150g、2合であれば300gのように重さで管理することをおすすめします。また、3合炊きの文化鍋であれば2~3合でご飯を炊くのがおすすめです。

計量したお米を洗います。精米から1ヶ月以上経過しているお米は研ぎます。フッ素樹脂加工(テフロン加工)されている文化鍋の場合はボウルに移して洗ってください。生のお米は硬度の高い食材ですので、鍋で洗ってしまうとフッ素樹脂加工を傷めてしまう可能性があります。

水加減は「洗米前のお米の重さ×2.5~2.7=総重量」です。1合であれば(2.7倍で)405g、2合であれば(2.6~2.7倍で)780~810g、3合であれば(2.6倍前後で)約1170gになります。(※水加減に誤差があるのは、炊飯量に対して鍋が大きすぎると沸騰による水分の蒸発が大きくなるためです)

30~90分ほど水に浸して吸水させます。飽和吸水量(お米が1.2~1.3倍の重さになる)まで十分に吸水させることがポイントであり、「米粒全体が白く濁る」ことが吸水完了の目安となります。

お米の澱粉を完全に糊化(α化)させるためには20分間の加熱が必要です。はじめは強火で沸騰させ、沸騰したら中火にして5分間沸騰を維持し、とろ火まで落として15分間加熱します。(※弱火ではなくとろ火であることがポイントです)
絶対に蓋を開けずに10~15分間ほど蒸らします。蒸らしの行程によって澱粉の糊化(α化)は完結しますので、お腹が空いていても、必ず蒸らしてください。
蒸らし終えましたら、しゃもじで全体を混ぜます。混ぜることには「余分な水分をとばす」ことや「水分量のばらつきを均等にする」などの意味合いがあります。
以上が文化鍋を使ったご飯の炊き方です。
文化鍋で炊いたご飯は「甘味が弱い」ことが特徴であり、おかずの味を邪魔しませんので日常的に食べるご飯として好まれる傾向にあります。
もう一度、ポイントの整理をしておきます。
- 水加減:お米の重さ×2.6~2.7=総重量
- 火加減:強火で沸騰→中火で5分→とろ火で15分
- 蒸らし:蓋を開けずに10~15分
興味があれば、試してみてください。
吹きこぼれないことのメリット
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文化鍋は、吹きこぼれません。
ご飯は、大きく対流させる必要があります。
対流させる目的としては「均一に澱粉を糊化させる」ことがあり、強く沸騰させなければ澱粉分子がゆるまずに糊化が不十分な部分ができてしまうことがあります。
そのため、吹きこぼすように沸騰させます。
また、かに穴を作ることもポイントです。
激しく沸騰させることで「かに穴」と呼ばれる隙間ができ、その隙間がお湯や水蒸気の通路となりますので全体がムラなく炊きあがることになります。
かに穴を作るためには、激しく沸騰させます。
吹きこぼれを恐れるあまりに沸騰状態を保つことができないと、「かに穴ができない=火の通りが不均一になる」ことになります。
文化鍋の吹きこぼれない構造は、美味しいご飯を炊くための構造であるといえます。

なぜ甘味の少ないご飯になるか?
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文化鍋で炊いたご飯は、甘味が少なくなります。
ご飯の甘味は、澱粉が分解された糖です。
炊飯には「沸騰までの時間が長くなるほど甘味が強くなる」という特徴があり、アルミは熱伝導率が高いために甘味が控えめになります。
土鍋ご飯が甘いのは、熱伝導率が低いためです。
これには、酵素が関わっています。
精白米に含まれる酵素には「60℃前後で活発に働く」という特徴があるため、その温度帯を素早く通過してしまう文化鍋では甘味が控えめになります。
ご飯は、甘ければ良いという訳ではありません。
強すぎる甘味はおかずの味を邪魔します。
たとえば、ご飯が主役になるような献立には甘味の強いご飯が好まれる傾向にありますが、日常的なご飯としては主張が強すぎて敬遠されます。
文化鍋は、日常のご飯におすすめの炊飯鍋なのです。
アルミ鍋は軽くて扱いやすい
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文化鍋は、軽さが魅力です。
基本的に文化鍋といえばアルミの炊飯鍋であり、アルミは比重の軽い素材ですので、厚みのある鍋であっても重量は軽くなります。
軽さは、扱いやすさに直結します。
炊飯鍋の定番といえば、土鍋です。
しかし、土鍋には「重い」「衝撃や温度差によって割れることがある」などの特徴があるため、普段使いの鍋としては扱いにくい部分があります。
その点、文化鍋は軽さが魅力です。
また、アルミ鍋ですのでぶつけても割れませんので、洗い物をするときに(土鍋や鋳物琺瑯鍋のように)気を使う必要もありません。
扱いやすさは、大きな魅力です。
まとめ
当ブログでは、炊飯鍋に文化鍋をおすすめしています。
もちろん、土鍋や鋳物琺瑯鍋にも魅力があります。
しかし、「日常的に食べるご飯」「扱いやすく気を使わずに使える鍋」などの条件を考えると、文化鍋は心からおすすめできると考えています。
鍋炊飯をしている家庭であれば、後悔はしないはずです。