お米は、洗います。
「研ぐのか?」「洗うのか?」は意見が分かれます。
研いだ方がお米表面の糠や異物をしっかり落とせますが、洗った方が澱粉の流出が少なくなるために甘味のあるご飯になります。
現在では、「洗う」のが主流派です。
しかし、研いだ方がよい場合もあります。
特に「精米から1ヶ月以上経過したお米」や「保存状態の良くなかった玄米を搗精(精米)した場合」などは、研いだ方が美味しいご飯になります。
以下、詳しく説明していきます。
精白米表面の糠分を落とす?
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精白米には、糠が付着しています。
お米を洗う主な目的は、胚乳(米粒)に付着している糠や異物を洗い流すことであり、そのまま炊いたのでは食味が低下します。
ご飯が糠臭くなるということです。
米粒の表面には、溝があります。
溝があるために精米によって糠(糊粉層の一部)を完全に取り切ることは難しく、残った糠は洗米によって取り除かなければなりません。
ちなみに、無洗米は糠(糊粉層の一部)を完全に取り除いたものです。
無洗米には、いくつかの方法があります。
「乾式方式」「加水精米方式」「特殊加工方式」などがあり、家庭用精米機に付属している機能は「乾式方式」となります。
無洗米は、大量炊飯が必要な施設などで用いられる傾向にあります。
搗精技術の進歩と乾燥方法
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お米は「洗う」のが主流派です。
研いではいけないわけではありません。
しかし、現在の搗精技術(精米技術)と乾燥方式の変化の性質上、研ぐよりも洗った方がご飯を美味しく炊きやすくなります。
- 精米技術:精白米自体がきれいに搗精されている
- 乾燥方式:自然乾燥から火力乾燥への変化
精米技術は格段に進歩しています。
精白米自体がきれいになっていますので、研がなくても(米粒同士をこすりあわせなくても)余分な糠を洗い流せます。
また、乾燥方法の問題もあります。
現在、お米の大部分は火力乾燥です。
火力乾燥のデメリットとして「米粒(胚乳部)が脆くなる」ことがあり、自然乾燥されたお米よりも砕けやすくなっています。
お米が砕けると澱粉の流出が多くなりますので、好ましくない粘りのあるご飯になります。(※米粒単体の粘りと、流出した澱粉による粘りは全くの別物です)
研いだ方が美味しいお米とは?
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品質の落ちたお米は、研いだ方が美味しくなります。
古いお米には、古米臭があります。
古米臭の主な原因は「脂質の酸化(酸敗)」にありますので、米粒に付着している糠分を完全に取り除くことがポイントとなります。
その場合、軽く洗っただけでは不十分です。
もちろん、強く研ぐ必要はありません。
強く研いでしまうと米粒が割れてしまいますので、掌(親指の付け根の軟らかい部分)を使って優しく研ぐことがポイントとなります。
この際、ざるで研いではいけません。
少量のお米(3合前後)をざる研ぎしてしまいますと、丁寧に研いでも米粒の表面が削れてしまいますのでボウルに入れて研ぐ必要があります。
この点に関しては、基本の研ぎ方と同様です。


まとめ
お米は、研がずに洗うのが主流派です。
これには搗精技術(精米技術)の進歩や乾燥方法の変化が関係しており、適切な保存方法で管理されていたお米は洗った方が美味しくなります。
しかし、品質の落ちたお米は研ぎます。
お米の劣化原因の大半には「脂質の酸敗(酸化)」が関与していますので、研ぐことで劣化した糠を完全に洗い流した方が美味しいご飯になります。
お米の研ぎ方にも、使い分けが必要なのです。