お米には、多くの種類があります。
大きくはジャポニカ(短粒種)とインディカ(長粒種)の違いがありますし、同じ短粒種であってもうるち米ともち米の違いもあります。
さらには、短粒種のうるち米の中にも数多くの品種があります。
一概に、どれが美味しいという問題ではありません。
たとえば、「粘りの強いご飯」「ふっくらしたご飯」「粒感のあるさっぱりしたご飯」「甘味やうま味の強いご飯」など、好みや料理に合わせて選ばれます。
ちなみに、お米には300品種ほどがあります。
しかし、好まれる食味や生産効率の関係により、全体の約63.8%は「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」「あきたこまち」の4品種となっています。
日本人の食味には、「粘り」が好まれるようです。
ジャポニカとインディカの違い
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現在栽培されているイネの大部分は、アジアが発祥です。
「オリザ・サティバ」というイネが出発点となり、インディカ(長粒種)やジャポニカ(短粒種)などに枝分かれしていったと考えられています。
- インディカ:細長く、粘りが少ない
- ジャポニカ:丸く、粘りが強い
この違いは、アミロース含量の違いです。
お米の澱粉はアミロースとアミロペクチンで構成されていますが、アミロース含量が高くなるほどに粘りがなくぱらぱらしたご飯になるという特徴があります。
- インディカ:アミロース25%前後
- ジャポニカ:アミロース20%前後
この違いが、粘りの違いとなります。
うるち米ともち米の違い
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日常的なご飯として食べられているのは、うるち米です。
うるち米ともち米は、基本的な栄養価に違いはありません。
違いが現れるのはアミロースとアミロペクチンの比率であり、うるち米が「2:8」であるのに対して、もち米は「0:10」となっています。
- うるち米:アミロース2割、アミロペクチン8割
- もち米:アミロペクチン10割
もち米の澱粉は、アミロペクチンのみで構成されています。
この違いが、粘りの違いとなります。
アミロペクチンには「吸水しやすく粘りを出す性質」がありますので、アミロペクチンのみで構成されるもち米には強い粘りがあるというわけです。
ちなみに、もち米は蒸して調理されます。
これはもち米(アミロペクチン)の吸水力が非常に強いため、適切な水分量で炊こうとすると炊き水が少なくなってしまうためです。
もち米の飽和吸水量は、米重量の約40%にもなります。
品種による食味の違い
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いよいよ、品種による違いです。
結論からいえば、好みの問題としか言えません。
「(アミロペクチンの多い)粘りの強いご飯」を好む人もいますし、「(アミロペクチンの少ない)さっぱり粒感のあるご飯」を好む人もいます。
ざっくりいえば、コシヒカリとササニシキの違いです。
- コシヒカリ:粘りが強く、甘味やうま味が強い
- ササニシキ:粘りが少なく、粒感のあるさっぱりした味
多くの品種はコシヒカリを親として生まれていますが、かけ合わせた品種とのバランス「どちらの特徴が色濃くでているのか?」や「どのような環境で栽培されているのか?」によって味や食感の違いが生じています。
お米にこだわりのある人が「品種」「産地」「収穫年」「栽培法」などの項目をチェックしているのは、理由があってのことなのです。
まとめ
お米には、多くの種類があります。
大きくは「ジャポニカ」「インディカ」、次に「うるち米」「もち米」、さらに「粘りの強いコシヒカリ系」「粘りの少ないササニシキ系」のようなイメージです。
コシヒカリとササニシキを食べ比べてみると、はっきりとした違いがわかります。
ちなみに、ブレンド米もあります。
コーヒー豆が好みに応じてブレンドされることがあるように、お米も各メーカー(または各店舗)によってブレンドされて販売されていることがあるのです。
奥の深い世界ですので、「どれが一番か?」は誰にも決められません。