じゃがいもの下ごしらえ。レンジ加熱で潰しやすくなる理由。

じゃがいもは、レンジで加熱すると潰しやすくなります。

じゃがいもは、加熱して調理します。
じゃがいもに含まれる澱粉は加熱して糊化澱粉にしなければ消化が悪いため、茹でる、蒸す、揚げる、炒めるなどの加熱調理をして食べられるようになります。

下ごしらえには、電子レンジが使われることもあります。

レンジで加熱されたじゃがいもは、くずれやすいのが特徴です。
そのため、じゃがいもを潰して調理するタイプの料理(ポテトサラダやじゃがいもコロッケなど)の下ごしらえにはレンジが用いられることが多くなります。

以下、レンジで加熱されたじゃがいもがくずれやすくなる理由を説明していきます。

ジャガイモの固さは?

じゃがいもの固さは、ペクチンによるものです。
ペクチンとは細胞と細胞の間にあって「接着剤のような役割」をしている物質であり、ペクチンが強固であるほど細胞が離れにくい(くずれにくい)ことになります。

ペクチンは、加熱によって柔らかくなります。
加熱されたじゃがいもが柔らかくなるのは、ペクチンが分解されて細胞と細胞が離れやすくなっているためです。

ペクチンの強度には、じゃがいもの品種による違いがあります。
たとえば、粉質いもである男爵やきたあかりは煮崩れしやすいじゃがいもですが、粘質いもであるメークインやとうやは煮崩れしにくいじゃがいもです。

また、ペクチンの強度は温度によっても変化します。

ペクチンと加熱温度の関係は?

ペクチンは、温度が高いほどに軟化しやすくなります。
沸騰した鍋に野菜を入れると早く柔らかくなるのはペクチンが軟化しているためであり、圧力鍋などでは(短時間であっても)溶けてしまうほどに軟化します。

しかし、ペクチンの性質を変えるのは(最終的な)温度だけではありません。

特に注目して欲しいのが、温度の上がり方です。
ペクチンには50~80℃の通過時間が長くなるほどに「硬化しやすくなる」という特徴があり、煮崩れさせたくない根菜類などは水から(時間をかけて)温度を上げていきます。

これによって、ペクチンが硬化するために煮崩れしにくくなります。

MEMO
その他には、煮汁に食塩が添加されていることでペクチンが軟化しやすくなります。ペクチンには「カルシウムイオンと架橋結合すると強度が増す」「ナトリウムイオンと結合すると強度が減る」という特徴があるためです。

レンジでの下ごしらえ

じゃがいもをレンジで加熱すると、くずれやすくなります。
これは、電子レンジが「マイクロ波によって内側(食材表面の6~7cm)から加熱する調理器具」であるためであり、短時間で柔らかくなります。

また、急激に温度が上昇することもポイントです。

前項の通り、ペクチンの強度は温度の上がり方により変化します。
ペクチンの硬化が起こりやすい「50~80℃」の温度域を素早く通過することで、じゃがいもが硬くなるのを防ぐことができるというわけです。

ポテトサラダやじゃがいもコロッケの下ごしらえには、レンジが適しています。

しかし、肉じゃがなどの下ごしらえには向きません。
肉じゃがなどの「ジャガイモを煮崩したくない料理」の場合、必要以上にペクチンが軟化しているとすぐに煮崩れてしまう(煮溶けてしまう)ことになるためです。

何事も、バランス感覚を忘れてはいけません。

まとめ

じゃがいもは、レンジでの下ごしらえができます。
しかし、レンジによる加熱には「ペクチンが軟化しやすい」という特徴がありますので、柔らかくしたい場合には向きますが、煮崩れしにくくしたい場合には向きません。

電子レンジは、使いどころを押さえておけば便利な道具です。

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