麹甘酒の作り方を説明します。
今回は、ヨーグルトメーカーを使用します。
麹甘酒の作り方には「土鍋」や「炊飯器」を用いる方法もありますが、温度管理が容易な「ヨーグルトメーカー」で作る方法をおすすめします。
麹甘酒は、酵素の働きで甘くなります。
しかし、温度が低すぎると乳酸菌の働きによって酸味が生じてしまいます(麹甘酒が酸っぱくなってしまいます)ので、温度管理がポイントとなります。
以下、詳細の説明です。
麹甘酒の作り方
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麹甘酒は、米、米麹、水によって作られます。
条件を満たせていれば美味しい麹甘酒を作れますので、温度管理の容易なヨーグルトメーカーの使用をおすすめします。
以下が基本的な条件です。
- 温度:55~60℃
- 時間:9~12h
それでは、手順を追って詳細の説明をしていきます。
材料を準備します。作りやすい分量は「ご飯1合分(約300g)」「水300ml」「米麹100g」です。混ぜた時に55℃前後になることがポイントとなりますので、「冷やご飯と熱湯」や「炊き立てのご飯と湯冷まし」などのようにして調節します。温度が高すぎると米麹に含まれる酵素が失活してしまいますので注意してください。
容器を煮沸殺菌します。ヨーグルトメーカーを使用する場合には必ずしも必要な作業ではありませんが、念のために煮沸殺菌しておきます。
ご飯と水を混ぜ、温度が高すぎない(60℃以上でない)ことを確認してからほぐした米麹を加えてよく混ぜます。温度は、低すぎる場合には「でき上りの時間が延びる」だけですが、高すぎる場合には「(酵素が失活して)甘くならない」ことになります。
ヨーグルトメーカーにセットし、「55~60℃」「9~12h」に設定します。ヨーグルトメーカーの温度には個体差や使用する容器による(熱伝導率や熱容量の違いによる)温度差が生じますので、はじめて使用する器具の場合には温度を確認しておくことをおすすめします。
9時間ほど経過した時点で、味見をします。麹甘酒の飲み方(そのまま飲むのか? 割って飲むのか?)によっては目指すべき甘味が異なりますので、好みの甘味になったら鍋に移して火入れをします。ひと煮立ちさせることによって酵素を失活させて味を安定させることができます。
火入れをした麹甘酒は、密閉容器に入れて冷蔵庫で保存します。1~2週間ほどは日持ちしますが、それ以上に保存したい場合には「ジッパー付きの袋(もしくは真空パック)」に入れて冷凍保存することもできます。
以上が、基本となる麹甘酒の作り方です。
麹甘酒が甘くなる仕組み
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麹甘酒は、酵素の働きによって甘くなります。
麹菌は、水を加えた時点で死滅してしまいます。
しかし、米麹には麹菌によって生成された酵素(アミラーゼやプロテアーゼ)が豊富に含まれていますので、これら酵素の働きによって麹甘酒は甘くなります。
- アミラーゼ:澱粉を分解する酵素
- プロテアーゼ:タンパク質を分解する酵素
温度は、55~60℃がおすすめです。
米麹に含まれる酵素は「高温になると失活してしまいます(働かなくなります)」ので、55~60℃ほどの温度帯で管理することがポイントとなります。
そのため、保温温度が73℃前後になる炊飯器の場合には、蓋を閉めずに管理します。
麹甘酒が酸っぱくなる仕組み
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麹甘酒の酸味は、乳酸菌によって生じます。
乳酸菌は、糖を消費して乳酸を生成します。
ひとたび乳酸菌が入り込んでしまうと、アミラーゼによって分解された糖を餌として乳酸菌が爆発的に増えてしまいます。
しかし、乳酸菌の生育温度は常温です。
55~60℃に管理されていれば乳酸菌が増えることはありませんので、ヨーグルトメーカーを使った麹甘酒には酸味が生じません。
乳酸菌は、どこにでもいる微生物です。
土鍋などを使って(常温で)作る場合には「乳酸菌の侵入を防ぐ」ことがポイントとなりますが、完全に防ぐことは不可能です。
麹甘酒は、ヨーグルトメーカーで作ることをおすすめします。

まとめ
麹甘酒は、簡単につくれます。
しかし、温度管理が重要なポイントとなりますので、基本的にはヨーグルトメーカーなどの使用をおすすめします。
温度管理が不十分であると、「麹甘酒が酸っぱくなる」「麹甘酒が甘くならない」などの問題が生じやすくなりますので注意が必要です。