焼き魚は、焼く前に振り塩をします。
魚に振り塩をすることにより「身が崩れにくくなる」「加熱時にうま味が抜けてしまうことを防げる」などのメリットが得られるためです。
魚の場合、約2%前後の振り塩が適当だとされます。
また、振り塩には並塩(粗塩)がおすすめです。
不純物の少ない精製塩よりも、不純物(にがり分など)を含む並塩の方が上記のメリットに対する働きが強いためです。
以下、詳細を説明します。
身が崩れにくくなる
振り塩をすることで、余分な水分が抜けます。
塩を振ると、表面の水分に溶けて濃い食塩水になります。
これを薄める(浸透圧の作用の)ために内部の水分が表面に引き出されますので、身が引き締まって崩れにくくなります。
振り塩には、身崩れ防止の直接的な作用があるのです。
振り塩は、30分から1時間前ほどが適当です。
それ以上に早くから振り塩をしてしまうと「水分とともにうま味まで失ってしまう」ことになりますので、やりすぎは禁物です。
うま味などの流出を防げる
振り塩には、うま味を留める効果もあります。
「上記の説明とは相反するのでは?」……と思われるかもしれませんが、振り塩をしておくと加熱の際に(タンパク質が)早く固まるようになります。
表面が固められることで、うま味が逃げにくくなるのです。
食塩は、魚の表面に浸透します。
これは食塩水に溶けやすいタンパク質(グロブリン)の性質によるものであり、浸透した食塩はその他のタンパク質の熱凝固を早めることになります。
振り塩は、タイミングが重要だということです。
まとめ
焼き魚には、振り塩をします。
振り塩をすることで「身が崩れにくくなる」「うま味が逃げ出さなくなる」などのメリットを得ることができます。
しかし、あまりにも早くから振り塩をしてしまうと「水分が抜けすぎてしまう」「水分とともにうま味まで抜けてしまう」ことになりますので、一般的には(2%前後の食塩を)焼きはじめる30分から1時間前に振っておくのが適当だとされています。