フライパンでも米を炊くことができます。
しかし、ベストな炊飯方法ではありません。
美味しいご飯に炊き上げるためには「鍋の深さ」が必要ですので、深さがなく表面積の広いフライパンは理想的とはいえないのです。
フライパン炊飯が活用されるのは、調理器具がそろっていない場合です。
たとえば、引っ越し直後。
はじめての一人暮らしなどで「炊飯器がない」「調理器具もフライパンくらいしか持っていない」などの場合には役立ちます。
フライパン炊飯の方法
フライパン炊飯は、難しくありません。
基本的には鍋炊飯と同じであり、違いがあるとすれば「(表面積が大きいために)水加減を少し多めにする」ことだけです。

米をとぎます。その際、米の量を知っておくことがポイントです。180ml(1合)カップを使ってもよいですし、キッチンスケールで1合(150g)をはかっても構いませんが、必ず米の量を把握しておきます。

水加減をしていきます。水加減はキッチンスケールがある場合には「米g×2.5~2.6=総重量」とし、メジャーカップを使用する場合には「(1合につき)180~200ml」とします。フライパン炊飯でのおすすめは、前者であれば「2.6」、後者であれば「200ml」です。吸水は、「米粒全体が白く濁る」まで行います。

しっかりと閉まる蓋をします。はじめは中火から強火で「激しく沸騰させる」ことがポイントであり、沸騰が確認できましたら弱火にして約10分間加熱します。10分後、5秒間だけ強火にして火を消します。

加熱が終わりましたら、10~15分ほど蒸らします。火を止めてから蒸らしが終わるまでは絶対に蓋を開けてはいけません。蓋を開けてしまうと熱が逃げて澱粉のα化(糊化)が不十分になってしまう恐れがあります。

蒸らしが終わりましたら、全体をざっくりと混ぜて完成です。混ぜることには「余分な水分をとばす」「炊きムラを均一にする」などのメリットがありますので、必ずかき混ぜてください。
上記は、基本的な炊き方です。
使用するフライパンや蓋、コンロによっては「10分加熱できずにSiセンサーが作動してしまう(焦げ付いてしまう)」こともあるかと思います。
そのような場合は、確実に水分不足です。
最終的には経験が求められます。
たとえば、7分ほどでパチパチと音がするのであれば大さじ1程度の水を足しても構いませんし、反対に10分加熱してもパチパチと音がしないのであれば加熱時間をのばしても構いません。
数回試せば、感覚をつかめるはずです。
水の量を増やす理由
フライパン炊飯では、水分量を増やします。
これはフライパンの形状が「浅く表面積が広い」ためであり、通常の鍋よりも蒸発量が増えるために水加減を多めに調節します。
以下は一つの目安です。
- 鍋炊飯:米g×2.5=総重量g
- フライパン炊飯:米g×2.6=総重量g
米を炊くことは、澱粉をα化させことです。
澱粉のα化には多量の水分と一定以上の加熱時間を必要としますので、はじめは少し多め(たとえば1合につき200ml程度)で調節することをおすすめします。
慣れてくれば、感覚で判断できるようになってきます。
美味しく炊けない理由
フライパン炊飯は、美味しく炊けません。
もちろん「それなりに美味しいご飯」を炊くことは可能ですが、鍋炊飯と比べると致命的な欠点があるために味が劣ることになります。
フライパンのデメリットは、その形状にあります。
炊飯は、激しく対流させる必要があります。
鍋の中で水分が対流することによって「ムラなく炊きあがる」こととなり、炊きあがりの「かに穴」や「米粒が立つ」ことが見極めるポイントとなります。
鍋をお持ちであれば、鍋炊飯をおすすめします。
まとめ
フライパン炊飯は、難しくありません。
しかし、鍋と比べると「美味しく炊き上げるのが難しい」という特徴がありますので、基本的にはおすすめしません。