一般的に、魚は生臭いものです。
魚特有の「臭み」を嫌い、魚が苦手な方も少なくありません。
魚の臭みには原因があります。
本来、(新鮮な)魚は生臭いものではなく、わずかな磯の香り(磯臭さ)はあるものの「不快に感じるような生臭さ」は持ち合わせていません。
では、なぜ魚が生臭くなるのか?
以下、詳細の説明です。
魚が傷みやすい理由
魚は、痛みやすい食材です。
これは、魚肉が「牛肉や鶏肉とは違ったタンパク質組成でできている」ためであり、加熱に弱く、酵素や細菌によって分解されやすいという特徴を持ちます。
また、分解酵素も豊富に含まれています。
多くの魚は「他の魚を丸飲みにして分解しています」ので、エサとしての魚を消化するための酵素を体内に蓄えています。
魚の内臓が速やかに取り除かれるのは、自己分解を防ぐためでもあります。
生臭さの原因
魚が分解されると、生臭くなります。
生臭さの原因となっているのは、アンモニア、硫黄化合物、アミンなどであり、これらの分解生成物は分解が進むほどに強くなります。
魚の生臭さは、鮮度が落ちるほどに強くなると言うことです。
添え物のレモンは、魚の生臭さを緩和します。
生臭さの原因になっているアンモニアやアミンは塩基性(アルカリ性)であるため、酸性であるレモンが中和してくれるというわけです。
酸化しやすい脂肪酸
魚には、多くの不飽和脂肪酸が含まれています。
「鰯や秋刀魚などの青魚は生臭い」というのは、鮮度が落ちるのが早い(痛みやすい)ことに加え、酸化しやすい不飽和脂肪酸が豊富であることも関係しています。
油は、酸化することで不快な臭いを放ちます。
分解生成物(アンモニア、硫黄化合物、アミンなど)と酸敗臭……、相乗効果によって魚の生臭さが際立ってしまうのです。
まとめ
魚臭さの原因は、鮮度が落ちやすい食材であるためです。
これは、「分解されやすいタンパク質組成」「分解酵素が多い」「不飽和脂肪酸が豊富」という3つの条件がそろっていることによるものです。