糠漬け初心者こそ、基本に沿って作ることをおすすめします。
伝統的な糠漬けには、手間がかかります。
手間がかかりますので、「スーパーの糠床を購入する」「かき混ぜる回数の少ない糠床を購入する」「冷蔵庫で管理する」などの選択を選んでしまいがちです。
しかし、(多くの場合)美味しくありません。
糠漬けの美味しさは、微生物によるものです。
手軽さを売りにしている糠漬け(糠床)の多くは「微生物の働きを無視しています」ので、昔ながらの糠漬けには到底及ばないものになります。
美味しくなければ、続けられません(続ける意味がありません)よね?
伝統的な糠漬けは意外と簡単?
糠漬けのはじめ方は、難しくありません。
糠床容器と糠床の材料(米糠、粗塩、水、唐辛子)があれば始めることができますので、(興味があるのであれば)とにかく始めることをおすすめします。
- 糠床容器:6-8L(おすすめは丸型容器)
- 米糠:1kg(可能な限り新鮮なもの)
- 粗塩:150g(精製塩は不可)
- 水:900ml(浄水器もしくは湯冷まし)
- 唐辛子:2本(防虫目的)
鰹節や煮干しは必要ありません。
これらのうま味食材は「冷蔵庫管理などで微生物によるうま味に期待できない場合に加える食材」ですので、常温管理の場合には必要ありません。
むしろ、入れてはいけません。
タンパク質が分解される際にはアンモニアなどの「塩基性(アルカリ性)成分」が生じますので、糠床が腐りやすくなってしまいます。



はじめたばかりの糠床に起こりやすい問題は?
糠漬けを始めるのは、簡単です。
しかし、糠床を管理していると様々な問題に直面することになりますので、まずは起こりやすい問題を整理しておきます。
上記の解決策は、絶対ではありません。
たとえば、シンナー臭の原因となっている酢酸エチルは「産膜酵母によって生成される」と書きましたが、糠床内の「酵母」によっても生成されます。
後者の場合、水分量を増やしてしまうとシンナー臭が強くなります。
- 乳酸菌:乳酸を生成(酸素を嫌い、炭酸ガスやアルコールを生成するものもいる)
- 産膜酵母:アルコールや酢酸エチルを生成(酸素を好む)
- 酵母:炭酸ガスやアルコールを生成(酸素があると炭酸ガス、酸素がないとアルコールを多く生成する)
微生物の大まかな特徴を理解していると、管理が楽になります。
まずは「1ヶ月頑張ってみること」の理由
糠漬けを始めるのであれば、まずは1ヶ月続けてください。
糠床は2週間ほどで本漬けできるようになりますが、その段階では熟成が進んでいませんので「うま味が少なく塩辛いだけの糠漬け」になりがちです。
しかし、(20-25℃ほどで)1ヶ月も管理すれば、糠漬け本来の美味しさになっていきます。
最低限、1ヶ月(できれば2-4ヶ月)は続けてください。
その段階で「糠漬けの味が好みではない」「美味しいけど続けられない」などの場合には、捨てるなり冷蔵庫管理に移行するなりすればよいかと思います。
糠床は可燃ごみで捨てることができますので、処分するのは簡単です。

まとめ
初心者こそ、本格的な糠床をつくることをおすすめします。
簡単に始められますし、(冷蔵庫管理を前提として作られた)市販の糠床よりも格段に美味しい糠漬けを味わうことができます。
中途半端に手間を惜しんでしまうと、糠漬けの良さを理解できないままに終わらせてしまう可能性がありますので、まずは「伝統的な糠漬け(糠床)」にチャレンジしてみることをおすすめします。