魚の切り身を洗ってはいけない理由。洗うことで美味しくなくなる?

魚の切り身は、洗わずに調理します。
切り身を洗ってしまうと「水っぽい味になる」「身がくずれやすくなる」「食感(テクスチャー)が悪くなる」などのデメリットが生じやすくなります。

「あらい」や「湯引き」とは違います。
あらいは弾力(死後硬直)を増してコリコリとした食感を生み出すために氷水に冷やし、湯引きは洗浄(または殺菌)のためにお湯に通します。

一般的な切り身は、洗いません。

切り身を洗うと水っぽくなる理由

切り身を洗うと、食感が悪くなります。
特に刺身(生)で食べる場合には「味の劣化が顕著にあらわれます」ので、捌いた後の魚は水につけない(濡らさない)ことがポイントとなります。

これは、切り身が水分を吸ってしまうためです。
水につけてしまうと浸透圧(水分が細胞膜を介して濃度の高いところに移動する作用)によって「水っぽくなる」「身がくずれやすくなる」などの問題が生じます。

魚を洗えるのは、切り身にする前段階までです。
内臓をとった後には洗ってもOKですが、切り身(三枚おろしなど)にした後には、汚れないように調理する(または布巾などで拭き取る)ことがポイントになります。

晒(さらし)が料理に適している理由。使い勝手の良い木綿布。

臭みを取りたい場合には?

魚のあらは、熱湯と冷水にさらすことがあります。
これは、あらには「取り残したうろこ」「ぬめり」「血液」などが付着している可能性が高いためであり、熱湯に通すことで臭みを取り除きやすくなります。

このテクニックは、湯引き(霜降り)と呼ばれます。

あら煮の下処理。魚のあらには欠かすことのできない湯引きとは?

湯引きは本来、表面を殺菌するために行われます。
しかし、湯引きすることで「臭みを取り除きやすくなる」「皮のコラーゲン繊維がゼラチン化しやすくなる」などのメリットが得られますので、あら煮などには欠かせない下処理です。

湯引きをするのとしないのとでは、料理の仕上がりに大きな差異が生じます。

その他には、牛乳に漬けることもあります。
主にムニエルなどに用いられるテクニックであり、牛乳に分散しているコロイド粒子が魚の生臭さを吸着します。

ムニエル用の魚は牛乳に漬ける? 臭みを取り除くテクニック。

まとめ

切り身にされている魚は、洗いません。
洗浄や臭み取りのために湯引きをすることもありますが、一般的な切り身として販売されている魚の場合には洗ってはいけません。

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