生姜焼きを漬ける理由。漬けない場合との明確な違いとは?

生姜焼きは、たれに漬け込まれます。

生姜焼きには、2つのメリットがあります。
それが、「タンパク質分解酵素によって柔らかくなる」ことと、「生姜の香り成分が肉の臭みを和らげる」ことです。

前者の効果を得るためには、漬け込む必要があります。

また、生姜は生でなければなりません。
タンパク質分解酵素はそれ自体がタンパク質ですので、加熱されたものでは「活性を失って酵素としての働きをしなくなる」ためです。

以下、詳細の説明です。

漬け込むことで肉が軟らかくなる仕組み

生姜焼きは、漬け込むことで肉が軟らかくなります。

ポイントとなるのが、タンパク質分解酵素です。
生姜には、ショウガプロテアーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が含まれており、これがタンパク質を部分的に分解します。

また、漬け込むことでうま味が強くなります。

タンパク質が分解されると、ペプチドやアミノ酸類が増えます。
これらの中には「うま味を持つものがある」ために、漬け込まれることで柔らかくなる上にうま味が増すことになります。

これが、生姜焼きの柔らかさの仕組みです。

生姜が肉の臭みを和らげる理由

生姜には、肉の臭みを和らげる効果があります。

「臭みを消すのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、生姜には直接的な肉の臭みをとる効果はありませんので、正確には「芳香成分によって肉の臭みを感じにくくする」ということになります。

同様の効果を発揮するのは、レモンやオレンジなどの柑橘類です。

生姜には、芳香成分が含まれます。
主なものにはジンギベレンやジンギベロールなどがあり、これらのさわやかな香りが肉の臭み(動物臭)を和らげています。

また、辛み成分も重要な役割を担っています。
生姜に含まれているジンゲロンやショウガオールなどの辛み成分は、豚肉をさっぱり食べられるようにするのに欠かせないためです。

漬け込むことによるメイラード反応の促進

漬け込むことで、焼き色がつきやすくなります。

豚肉は、焼き色のつきにくい食材です。
これには豚肉の持つ「(牛肉に比べ)アミノ酸や糖質が少ない」という特徴が関わっており、それによってメイラード反応が起こりにくくなります。

しかし、漬け込むことでアミノ酸や糖質が加わります。
生姜焼きの漬けだれには、醤油、砂糖、酒などが加えられますので、メイラード反応(アミノカルボニル反応)が起こりやすくなるのです。

結果として、美味しそうな焼き色と香気成分が加わることになります。

料理におけるメイラード反応。色と香りの美味しい仕組み。焼き色がつかない? 豚肉にメイラード反応が起こりにくい理由。

まとめ

生姜焼きは、漬けだれに漬け込みます。
漬け込むことによって「肉が軟らかくなる」「肉の臭みが和らげられる」「焼き色がつきやすくなる」などのメリットが得られるためです。

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