鶏肉は、低温調理をすると軟らかく仕上がります。
これは、肉を構成している筋原繊維タンパク質(ミオシン、アクチン)の熱変性温度が「50-73℃」であるためです。
それ以上になると、固く締まった肉になります。
しかし、通常の調理では「74℃」が推奨されています。
生の鶏肉には食中毒のリスクがあるため、瞬時に殺菌のできる「74℃」という温度が推奨されているわけです。
加熱温度を下げるためには、加熱時間を長く設けるしかありません。
食中毒を防ぐための温度と時間
鶏肉には、74℃での加熱が必要です。
しかし、74℃での加熱をしてしまうと「肉が固くなってしまう」ことになりますので、「74℃以下でのパスチャライゼーション」をしていきます。
パスチャライゼーションとは、低温殺菌です。
低温調理器であれば、低温殺菌が可能です。
具体的には「加熱温度」「加熱時間」「中心部の温度上昇に必要な時間」などを考慮して条件を決めていきます。
詳細に関しては、以下の記事にまとめています。

温度設定における食感の変化
タンパク質は、温度によって食感が変わります。
ポイントは、「ミオシン」と「アクチン」です。
ミオシンは筋原繊維タンパク質の約55%、アクチンは約25%を占めているタンパク質であり、以下のような温度域で熱変性します。
- ミオシン:50-60℃
- アクチン:66-73℃
通常、60-65℃の温度帯で調理されます。
これによって、「ミオシンは変性するがアクチンは未変性の状態を保つ」ことになり、柔らかくしっとりした仕上がりになりやすいためです。
ボーダーラインは、55℃です。
55℃以下の温度では「食中毒のリスクが伴うことになります」ので、どれだけ「生っぽい食感が好き」であっても55℃以下での調理はおすすめできません。
そもそも、60℃以下になると、かなり生っぽく仕上がります。
鶏肉の「生っぽさ」には好みが分かれるかと思いますが、生っぽい仕上がりが好みであれば「55-60℃」の温度域を利用することになります。
まとめ
鶏肉の低温調理は、(通常)60-65℃で行われます。
それによって、「ミオシンは変性するがアクチンは未変性の状態を保つ」ことになりますので、柔らかくしっとりした仕上がりになります。
60℃以下になると、とたんに「生っぽい仕上がり」になります。
鶏肉に「生っぽさを求めるのか?」に関しては好みの分かれるところではありますが、そのような仕上がりが好みの場合には「55-60℃」の温度域が利用されます。