大根は、米のとぎ汁で下茹でします。
米のとぎ汁で下茹でをすることによって「柔らかくなる」「アクやエグミ(もしくは臭い)が取り除かれる」などのメリットが得られます。
また、形をくずさずにふっくらと仕上がるようになります。
ポイントは、水から茹でることです。
大根がふっくら仕上がるのには「酵素の働きで柔らかくなる」ことや「澱粉がしみ込むことで形がくずれにくくなる」ことが関係しています。
水から茹でなければ意味を成さないのです。
米糠ではなく米のとぎ汁を使う理由
大根の下茹でには、米のとぎ汁を使います。
米糠との違いは、澱粉の量です。
米糠は「精米によって取り除かれる外皮や胚芽の部分」ですが、米のとぎ汁には「濃度の薄い米糠と米から溶け出した澱粉」が含まれています。
その結果、「柔らかくなる」「形がくずれるのを防げる」という効果が得られます。
ちなみに、澱粉(片栗粉など)で代用する方もいます。
しかし、片栗粉では「米のとぎ汁のような酵素の働きは得られません」ので、「形がくずれるのを防げる」という効果は得られても「柔らかくなる」という効果は得られません。
本質的に、米のとぎ汁の代用品とはなり得ないのです。
米のとぎ汁が大根を軟らかくする仕組み
米のとぎ汁で下茹ですると、大根は軟らかくなります。
これには、酵素の働きが関わっています。
大根を米のとぎ汁で茹でますと、米糠に含まれていた酵素が大根の中に入っていき、この酵素の働きによって組織が柔らかくなります。
ポイントは、必ず水から茹でることです。
酵素の働きは加熱によって失活してしまいますので、加熱した米のとぎ汁に大根を入れてしまうと「大根を軟らかくする効果は得られない」ことになります。
アクや臭み(またはエグミ)を取り除ける理由
米のとぎ汁で下茹でをすると、アクやエグミが取り除かれます。
大根を茹でるとアクやエグミがでてきます。
しかし、ただの水で茹でた場合(下茹でした場合)には再吸収されてしまいやすく、思うようにはアクやエグミを取り除くことができません。
そこで、米糠の成分に吸着させて取り除くわけです。
ポイントは、下茹で後に水にさらしておくことです。
下茹で後の大根をそのまま調理に用いると「糠臭くなる」ことになりますので、しばらく水にさらして陸上げ(ザルなどに上げておくこと)をしてから調理に用います。
陸上げすることで味がしみ込みやすくなります。
ふっくらしているのに形がくずれにくくなる理由
米のとぎ汁で下茹でをすると、煮くずれが起きにくくなります。
米のとぎ汁には、澱粉が含まれています。
米のとぎ汁の澱粉は、下茹でをすると大根の組織に染み込んでいき「その粘りによって形がくずれるのを防げる」という働きをします。
この点に関しては、他の澱粉(片栗粉など)でも同様の効果が得られます。
まとめ
大根の下茹では、米のとぎ汁によって行われます。
それによって、「柔らかくなる」「アクやエグミ(もしくは臭い)が取り除かれる」「煮崩れしにくくなる」などの効果が得られます。