糠床は冷蔵庫に入れないこと。常温での手入れをおすすめする理由。

糠床は、常温での手入れをおすすめします。

美味しい糠漬けには、微生物の生育が欠かせません。
微生物が生育しているからこそ「さわやかな酸味」「食欲をそそる複雑な香味」「タンパク質が分解されることによるうま味」などが生じることになります。

これらの微生物は、20-25℃ほどを好みます。

本来、糠漬けは美味しいものです。
しかし、冷蔵庫に入れてしまっているばかりに「香味にかける糠漬け」や「しょっぱいだけの糠漬け」を食べているとしたら、すごくもったいないことだと思うのです。

以下、詳しく説明していきます。

美味しい糠漬けのポイントとは?

美味しい糠漬けは、美味しい糠床によって作られます。

そのためには、糠床が熟成している必要があります。
糠床の熟成には(常温であっても)「夏季で約2カ月間」「冬季で約4か月間」程度の時間がかかりますので、冷蔵庫に入れてしまうと悲惨なことになります。

冷蔵庫に入れると、管理が楽になります。
しかし、それは低温によって微生物の働きを鈍らせているにすぎませんので、美味しい糠漬け(糠床の熟成)のためにはマイナスにしか作用しません。

寒い季節の糠漬けが美味しくないのは、微生物の働きが鈍っているためです。

微生物の働きが鈍ると、糠漬けの味が落ちます。
これは、乳酸菌の働きが鈍ることで「乳酸が生成されにくい(酸味が生じにくい)」、酵母の働きが鈍ることで「アルコールが生成されにくい」などが理由になっています。

また、タンパク質が分解されることによるうま味も生じにくくなります。

糠漬け初心者にこそ常温管理をおすすめする理由

糠漬け初心者にこそ、常温管理をおすすめします。

美味しい糠漬けをつくるには、手間がかかります。
これは、美味しい糠漬けをつくるには美味しい糠床である必要があるためであり、糠床の熟成には微生物の生育が欠かせないものであるためです。

常温(20-25℃)であれば熟成がスムーズに進みます。

作ったばかりの糠床は、美味しくありません。
糠床は約2週間で本漬けができるようになりますのが、糠漬け本来の味になるには「夏季で約2カ月間」「冬季で約4か月間」程度の時間を要します。

通常、1ヶ月を過ぎたあたりから「味が良くなっていく」ことを確認できるはずです。

しかし、冷蔵庫に入れてしまうと熟成が進みません。
常温であれば1ヶ月ほどで「刺々しい塩味が和らいでうま味が増していく」場合であっても、冷蔵庫に入れてしまうと「数カ月たっても美味しくならない」ことは珍しくありません。

糠漬け初心者にこそ、早い段階での「糠漬け本来の味」を味わってほしいのです。

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糠漬け(糠床)のうま味はどこから生まれるのか?

伝統的な糠床の材料は、すごくシンプルです。
基本的には、「新鮮な米糠」「粗塩」「浄水器の水(または湯冷まし)」があれば作れ、防虫目的に「唐辛子」を加えるのが一般的です。

意外に思われるかもしれませんが、うま味に関する食材は加えません。

うま味は、熟成過程で次第に強くなっていきます。
これは糠床に生育している微生物が米糠に含まれるタンパク質を分解するためであり、うま味を生じるアミノ酸(グルタミン酸など)は自然に増えていくのです。

もちろん、全く加えないわけではありません。
熟成した糠床に対して(好みに応じて)イノシン酸の鰹節やグアニル酸の干しシイタケなどを加える場合もありますが、これらはうま味の相乗効果を狙ってのことです。

基本的に、うま味は微生物が生み出してくれます。
しかし、冷蔵庫(低温)での管理では、微生物の活動が鈍るために「うま味が生じにくい」というデメリットが生じてしまうことになります。

糠床(糠漬け)の作り方。捨て野菜の目的や熟成期間は?

冷蔵庫管理の糠床にうま味食材を加える理由

冷蔵庫管理の糠床レシピでは、うま味食材を加えます。

これは、微生物によるうま味が期待できないためです。
本来であれば熟成と共にうま味が強くなっていく場合であっても、冷蔵庫管理の糠床では「熟成に時間がかかりすぎてしまう」ためにうま味食材を加えます。

しかし、それでは本来の糠漬けの味にはなりません。

冷蔵庫管理を前提とした糠床レシピは、特殊です。
たとえば、糠床の仕込みの段階から(多くの)鰹節や煮干しを加えるレシピを見かけることがありますが、そのレシピを常温管理してしまうと腐りやすくなってしまいます。

これには、pHの上昇が関係しています。
タンパク質(特に動物性タンパク質)が分解される際には「窒素を含むアミンやアンモニアが生じます」ので、それらの塩基性成分によってpHが上昇します。

糠床が中性から塩基性に傾いてしまうと、雑菌(腐敗菌)が繁殖してしまうのです。

糠床が腐る理由。腐ってしまう仕組みとうま味食材の注意点。

糠床の管理には「経験」が物を言う?

糠床の管理には、経験が物を言います。
たとえば、何かが気に入らないときの「足し糠をするべきなのか?」「食塩だけを加えるべきなのか?」などの微妙な感覚は経験でしか身につきません。

手間を惜しんでしまうと、経験(成長)の場を失ってしまいます。

常温管理には手間がかかります。
しかし、その手間こそが「経験」につながりますので、はじめから手間を惜しんでしまうと「いつまでたってもできるようになれない」ことになります。

糠漬けにも、「経験でしか学べないこと」が多数あります。

糠床管理の手間は、容器によって軽減できます。
冷蔵庫管理の定番容器である角型容器には「混ぜにくい」などのデメリットがありますが、少し大きめの丸型容器であれば「ストレスなく手入れができる」ことになります。

糠床管理は、手間を減らすのではなくストレスを減らす方向で考えることをおすすめします。

まとめ

糠床は、常温での管理をおすすめします。
糠漬けの美味しさは「微生物によって生み出されています」ので、冷蔵庫に入れてしまうと「熟成しない(熟成しにくい)糠床」になってしまい美味しくならないためです。

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