糠床容器の選び方は、とても重要です。
使い難いものを選んでしまうと、「かき混ぜるのがストレスになる」「汚れてしまって後片付けが大変」「カビの原因になってしまう」などのデメリットが生じます。
おすすめは、少し大きめの丸型容器です。
糠床容器には、多くの選択肢があります。
たとえば、冷蔵庫管理をする人には「角型(スクエア型)」が好まれますし、伝統的な糠床を作る人には「丸型(ラウンド型)」が好まれる傾向にあります。
以下、糠床容器選びのポイントを説明していきます。
糠床は手入れをすることで美味しくなる?
糠床の管理は、その大半が天地返しです。
天地返しをすること(空気に触れていた部分と触れていなかった部分を混ぜ込むこと)によって微生物のバランスが保たれます。
糠漬けに失敗する原因の多くは、手間を惜しんだためです。
糠床は、手間をかけなければ美味しくなりません。
美味しい糠漬けは「微生物のバランス」によって作られるものですので、手間を惜しんでしまうと「酸っぱすぎる」「アルコール臭い」などの問題が生じやすくなります。
糠床容器は、作業性の良さで選ぶことがポイントです。
基本的に、当ブログでは「冷蔵庫管理」をおすすめしません。
冷蔵庫での管理には「かき混ぜる頻度を減らせる」「夏季の異常発酵を防げる」などのメリットはあるのですが、微生物が弱ってしまうために美味しい糠漬けにはなりません。
糠床は、熟成するほどにうま味が強くなっていきます。
しかし、冷蔵庫で管理されている糠床の場合には「微生物が働けない」ためにうま味が弱くなり、それを補うために多くのうま味食材を加える必要があります。
それらのレシピには、糠床の基本を無視しているものも少なくありません。


糠床容器に「丸型」をおすすめする理由
昔ながらの糠床には、丸型の容器をおすすめします。
繰り返しになりますが、糠床は混ぜる必要があります。
基本的には1日1回(温度によっては1日2回)かき混ぜますし、寒い季節であっても週に数回はかき混ぜなければいけません。
丸型容器は、作業性の良さが魅力です。
丸い形状は「全体をくまなく天地返ししやすい」ですし、ある程度の高さ(深さ)がありますので「こぼさずに天地返しをしやすい」ことになります。
はじめは些細なことに感じられるかもしれません。
しかし、糠床の手入れは長期戦です。
ちょっとしたストレスが次第に大きくなり、最後には「何でこんな苦労をしてまで糠床をかき混ぜているのだろう?」と考えるようになってしまいます。
まずは、「作業性」を重視することをおすすめします。
常温管理であれば角型である必要はない?
糠床は、常温での管理をおすすめします。
糠床には、多くの微生物が生育しています。
乳酸菌を中心とする「耐塩性細菌群」は糠床の主役ですし、ピキア・アノマラなどの「耐塩性酵母群」は糠床に美味しそうな香味を加えてくれます。
これらの細菌は、20~25℃ほどで生育が良くなります。
冬の糠漬けが美味しくないのは、低温であるためです。
糠床に生育している乳酸菌(ラクトバチルスプランタラムなど)には「10℃前後でも活動できる」という特徴はあるものの、活動量が落ちることは避けられません。
糠床の管理は、生き物を飼うことなのです。
冷蔵庫管理を推奨している糠床も販売されています。
それらの糠床には「伝統的な糠床とは異なる微生物」が用いられていますので、特徴的な臭いがあったり、長期管理が難しかったりします。
伝統的な糠漬けの味が好みであれば、おすすめはできません。
これらのことからも、糠床は常温管理するべきです。
そして、常温管理をするのであれば「手入れの難しい角型」を選ぶ必要はありませんので、当ブログでは「丸型の糠床容器」をおすすめしています。
糠床の手入れは、ストレスを減らすことがポイントです。


まとめ
糠床容器には、丸型をおすすめします。
米糠1kg、粗塩150g、水900mlでつくる場合には、6~8L程度の容器を購入しておけば、最小限のストレスで糠漬けを続けることができます。
素材(プラスチックや琺瑯など)に関しては好みで選んでも問題ありませんが、密閉することのできる「プラスチック蓋(シール容器)」のものを選ぶと良いかと思います。