豚肉には、「焼き色がつきにくい」という特徴があります。
焼き色は、メイラード反応によるものです。
豚肉にはメイラード反応の原資となる「アミノ酸やタンパク質、そして還元糖」が少ないため、焼き色がつきにくいという特徴を持つことになります。
加熱不足ではありません。
焼き色を付けようと「加熱時間を伸ばす」「温度を上げる」などの手段をとりますと、固く縮んだ肉になってしまいますので注意が必要です。
以下、詳細の説明をしていきます。
メイラード反応における豚肉と牛肉の違い
焼き色の正体は、メイラード反応です。
メイラード反応はアミノ酸(またはタンパク質)と還元糖を原資としますので、それらの少ない豚肉は「メイラード反応が起こりにくい」ということになります。(関連記事:メイラード反応とは?)
これには、ミオグロビンがかかわっています。
ミオグロビンとは、鉄を含む色素タンパク質です。
ミオグロビンの多い筋肉の組織では、生体反応が活発で「アミノ酸や糖質などが多くつくり出されている」という特徴を持ちます。
以下は、豚肉と牛肉のミオグロビン比率です。
- 豚肉:0.06%
- 牛肉:0.5%
この違いが焼き色のつきやすさに影響します。
豚肉は(牛肉と比べて)ミオグロビンが少なく、そのためメイラード反応の原資となる「アミノ酸や糖質が少ない」ということになります。
これによって「豚肉は焼き色がつきにくい」という結果につながります。
豚肉に焼き色を付けるためには?
豚肉は、焼き色のつきにくい食肉です。
焼き色を付けるためには、小麦粉をまぶします。
小麦粉をまぶしてから焼くことによって、豚肉であっても「美味しそうな焼き色」をつけることができます。(関連記事:肉に小麦粉をまぶす目的)
小麦粉は、焼く直前にまぶすことがポイントです。
豚肉には、小麦粉をつけて焼く料理が多く存在します。
これは焼き色のつきにくい(メイラード反応の起こりにくい)豚肉を美味しく調理するために工夫された「先人の知恵」だと考えられています。
小麦粉をまぶすことで、焼き色だけでなく「こうばしい香り」も加わります。
まとめ
豚肉は、焼き色のつきにくい食肉です。
豚肉には、「ミオグロビンが少ない」という特徴があります。
ミオグロビンが少ないと、メイラード反応の原資となるアミノ酸や糖質が作られにくくなりますので、結果として「焼き色がつきにくい」ということになります。
豚肉に小麦粉をまぶして焼く料理が多いのは、メイラード反応を手助けするためです。