鍋でご飯を炊くのは、難しくありません。
もちろん、和食店のように「完璧なご飯」を炊き上げるには技術がいりますが、簡易的な方法であっても十分に美味しいご飯を炊くことができます。
安い炊飯器よりは、確実に美味しく炊けます。
また、基本的な考え方は炊飯器であっても同様です。
鍋炊飯が上手くなると、相乗的に炊飯器でも美味しく炊けるようになりますので覚えておいて損はありません。
以下、詳細の説明をしていきます。
炊飯用の鍋を選ぶ
鍋炊飯は、鍋によって味が変わります。
ポイントとなるのが「大きさ(サイズ)」と「材質(または板厚)」であり、炊きたい合数に応じて鍋のサイズを選ぶことになります。
もっとも重要なのが、大きさです。
小さすぎる鍋を選んでしまうと「鍋に米が詰まってしまう」ために対流が不十分になりますし、大きすぎる鍋を選んでしまっても対流が小さくなってしまいます。
いずれにしても、加熱(澱粉のα化)にムラができやすくなります。
炊飯に適した鍋のサイズは、以下のようになります。
もちろん、鍋の形状には様々な種類がありますので確実ではありませんが、一般的な鍋(雪平鍋や鋳物琺瑯鍋など)であれば以下のようになります。
- 1合(150g):16cm前後
- 2合(300g):18cm前後
- 3合(450g):20cm前後
炊飯鍋の素材に関しては、好みが分かれます。
土鍋炊飯には土鍋炊飯の良さがありますし、雪平鍋炊飯には雪平鍋炊飯の良さがありますので、好みに応じて使い分けることをおすすめします。
以下は、主な炊飯鍋の特徴です。
- 土鍋:甘味のあるふっくらしたご飯
- 鋳物琺瑯鍋:しっとりとしたご飯
- アルミ鍋:さっぱりとした癖のないご飯
- 圧力鍋:甘味や粘りの強いモチモチしたご飯
土鍋や鋳物琺瑯鍋には人気があります。
しかし、土鍋や鋳物琺瑯鍋には「重さ」と「脆さ」がありますので、挫折してしまう人も少なくありません。
ストレスにならない鍋を選ぶことをおすすめします。

鍋炊飯の手順(方法)
鍋炊飯には、いくつかの手順があります。
炊飯器であれば吸水や水加減に不備があっても「(ある程度は)炊飯器がコントロールしてくれる」ものですが、鍋炊飯ではそうはいきません。

米の計量をします。1合(180ml)の米は150gとなりますので、計量カップがなければキッチンスケールで測っても問題ありません。この際、1合であれば16cm前後の鍋、2合であれば18cm前後の鍋を用意しておきます。

米を研ぎます。1~2回ほどは大量の水でゆすぐように洗い、水を切ったら掌(親指付け根の柔らかいところ)を使って30~40回ほど研ぎます。再び水ですすいで(研ぎの工程は)2回ほど繰り返します。

米を研ぎ終えましたら、吸水させます。研ぎの段階で20%ほどを吸水していますので、残りの10%を吸水させることが目的です。吸水には「水につける方法」と「ザル上げしておく方法」がありますが、好みで選んでも問題ありません。いずれにしても、米粒全体が白く濁るまで吸水させることがポイントです。

水加減は、「洗米前の重量×2.5」に調節します。1合の米を炊く場合には「1合(150g)×2.5=375g」となります。鍋の素材によっては多少前後しますので、土鍋炊飯の場合には2.6倍くらいで調節することをおすすめします。

はじめは中火から強火でしっかりと沸騰させることがポイントです。しっかりと沸騰させることによって大きな対流が生まれますので「米が立っている炊きあがり」になります。沸騰したら、弱火にして10分ほど加熱します。最後の5秒間だけ強火にしてから火を消します。

火を消したら、蓋を開けてはいけません。鍋炊飯は火を止めてからの10~15分ほどの蒸らしによって澱粉のα化が完結しますので、蓋を開けて熱を逃がしてしまうとふっくらした炊き上がりにならない可能性があります。

蒸らし終えましたら、しゃもじを使ってご飯の上下を入れ替えます(天地返しをします)。天地返しは「余分な水分を飛ばす」「水分の少ない外側のご飯と水分の多い内側のご飯を均等にする」などを目的として行われます。これによって、ツヤのある「銀シャリ」と呼ばれるご飯になります。
以上が、基本的な鍋炊飯の方法です。
鍋炊飯には「より複雑な方法」もありますが、日常的な鍋炊飯であれば上記のような(簡易的な)方法でも十分に美味しいと感じられるはずです。
以下、各項目をもう少し詳しく説明していきます。
研ぎと吸水の意味
炊飯は、研ぎと吸水によって味が変わります。
研ぎ方を間違えてしまうと「糠臭いご飯」の原因になりますし、吸水が不十分であると「芯の残ったご飯」の原因になります。
これは、米の吸水率が影響しています。
炊飯のためには、約30%の吸水が必要です。
一般的には、洗米(研ぎ)の1回目において約10%、洗米が終わる頃には約20%、30~60分の吸水によって約30%の吸水が完了します。
洗米における1度目の水を素早く捨てるのは「糠分を吸収させないため」であり、30~60分かけて吸水させるのは「(澱粉のα化には多量の水分が必要なため)米粒内部まで十分に水分を行き渡らせるため」です。
ちなみに、約30%の吸水率というのは米粒全体が白く濁った状態が目安となります。



鍋炊飯の加熱時間
一般的な鍋炊飯では、10~15分ほど加熱します。
炊飯とは、米の澱粉を糊化(α化)させることです。
澱粉のα化は、理論上では「60~65℃以上」で起こるとされていますが、米の細胞膜に包まれている澱粉を糊化させるためには98℃で20分以上の加熱が必要だと考えられています。
そのため、芯までα化させるためには「加熱→蒸らし」という手順を踏むことになります。
はじめはしっかりと沸騰させることがポイントです。
沸騰させることによって鍋の中に大きな対流が起こりますので、それによってひと粒ひと粒までムラなく加熱されやすくなります。

炊飯の仕上げと蒸らし
鍋炊飯には、蒸らしが必要です。
米の澱粉を完全に糊化(α化)させるためには10~15分ほどの蒸らしが必要ですので、(絶対に蓋を取らずに)蒸らします。
これによって、米は芯まで柔らかくなります。
また、蒸らしには余分な水分を飛ばす目的もあります。
水分を飛ばすだけであれば蓋を取ればよいのですが、加熱後すぐに蓋を取ってしまうと(急激な温度の低下により)濡れたご飯になってしまいます。
ベタベタと濡れたご飯は、美味しくありません。
蒸らし終えましたら、天地返しをします。
炊きあがったばかりのご飯には「位置による水分量のばらつき」がありますので、天地返しをすることによって全体を均一にします。


まとめ
鍋炊飯は難しくありません。
ポイントさえ押さえておけば、「誰でも」「どんな鍋でも」ご飯を炊くことが可能です。