ムニエル用の魚は、牛乳に漬けます。
20~30分ほど牛乳に漬けた後に下味と小麦粉を付けて焼くと、魚特有の生臭さを和らげることができます。
もちろん、新鮮な魚には必要のない作業です。
魚の生臭さは、時間経過とともに強くなります。
これは、魚の生臭さの原因が「アミンオキシドが分解されてできるアミン類」と「脂肪酸が酸化することによるカルボニル化合物」であるためです。(関連記事:魚が生臭い理由)
以下、詳細の説明をします。
牛乳で生臭さが和らぐ理由
牛乳は、魚の生臭みを吸着します。
コロイド粒子によるものです。
牛乳には、牛乳タンパク質(カゼイン)、カルシウム、無機リン酸が結合して安定した微粒子として分散しています。
開封後の牛乳に臭いが付いてしまったことはありませんか?
牛乳は臭いを吸着しやすい食材です。
開封後の牛乳を冷蔵庫に入れておくと「食材の臭いが移ってしまう」ことがあるのは、牛乳の持つコロイド粒子による吸着作用によるものなのです。
この性質は、多くの調理法にも応用されます。
生臭さが和らぐ以外のメリット
牛乳に漬けるメリットは、生臭さが和らぐだけではありません。
たとえばメイラード反応。
メイラード反応はタンパク質やアミノ酸と還元糖が反応することで「焼き色やこうばしい香り」ができるというものです。(関連記事:メイラード反応とは?)
牛乳にはタンパク質やアミノ酸、還元糖が含まれてしますので、牛乳に漬けてから焼くことでメイラード反応が起こりやすくなるのです。
水分を拭き取ってから小麦粉を付けます。
水分(牛乳)を拭き取らずに小麦粉を付けると「小麦粉による粘りが出てしまいます」ので、カリカリ感のないしっとりした焼き上がりになってしまいます。(関連記事:ムニエルに小麦粉をまぶす理由)
まとめ
ムニエルの魚は、牛乳に漬けます。
これによって、「魚特有の生臭さを和らげることができる」「メイラード反応(アミノ・カルボニル反応)が起こりやすくなる」などのメリットが得られます。
しかし、新鮮な魚が手には入った場合には、この行程を省くこともできます。