ハンバーグには「つなぎ」が用いられます。
つなぎとしての食材を加えることによって「主材料と副材料がまとまりやすくなる」「肉汁が流れ出しにくくなる」などのメリットが得られます。
最も効果があるのは、塩と卵です。
塩には「アクトミオシンの網目構造を密にできる」という効果がありますし、卵にも同様の効果がある他「乳化によってまとまりがよくなる」という効果があります。
以下、詳細の説明をします。
つなぎとしての「塩」の作用
塩には、つなぎとしての効果があります。
挽き肉がまとまるのは、筋原繊維タンパク質が関わっています。
筋原繊維タンパク質であるアクチンとミオシンは、こねられることによって糸状のアクトミオシンになり、互いにつながって網目構造になります。(関連記事:ハンバーグをこねる目的)
塩は、アクトミオシンの網目構造を密にします。
挽き肉をこねるときに塩を加えておくことによって、アクチンとミオシンが溶けやすくなるために網目構造が密になりやすくなります。
粘りが出てまとまりやすくなるということです。
つなぎとして「卵」を加える効果
卵にも、つなぎとしての効果があります。
卵には、卵白と卵黄に異なる効果があります。
卵白のタンパク質(アルブミンなど)にはアクトミオシンによる網目構造を密にする働きがありますし、卵黄のレシチンには脂質と水分を乳化させる働きがあります。
これによって、まとまりがよくなるのです。
しかし、卵の効果は主に加熱後に表れます。
つなぎとしての効果を発揮するのは加熱後であり、加熱前には「つなぎ」としてというよりは「馴染みをよくする」ために用いられるものです。
つなぎとしては、塩の効果には及びません。
小麦粉や片栗粉はつなぎになる?
小麦粉や片栗粉は、つなぎになるのでしょうか?
小麦粉の粘りが利用されることもあります。
しかし、一般的につなぎとして利用されることはなく、焼く前にまぶすことによって「肉汁の流出を防ぐ」ために用いられます。(関連記事:肉に小麦粉をまぶす理由)
小麦粉の糊化には、多量の水分と熱量を必要とするためです。
つなぎとしては、利用しづらい食材です。
利用できなくはありませんが、つなぎとして利用するよりは「肉汁の流出を防ぐために用いられる」のが一般的です。
また、必ずしもまぶす必要はありません。
小麦粉や片栗粉をまぶすことによって「肉汁の流出を防げる」ことにはなりますが、味や食感が変化してしまうため、まぶさないレシピが多数派となります。
まとめ
ハンバーグには、つなぎが加えられます。
つなぎを加えることによって「まとまりがよくなる(崩れにくくなる)」「ジューシーになる」などの効果が得られるためです。
効果があるのは、塩と卵です。
塩や卵には「アクトミオシンの網目構造を密にする」という作用がありますので、まとまりやすくジューシーなハンバーグを作りやすくなります。