ハンバーグは、こねます。
こねないレシピもありますが、ハンバーグの挽き肉はこねることがセオリーであり、こねないレシピはアレンジレシピのようなものとなります。
では、「なぜこねるのか?」という問題です。
挽き肉を練るのには理由があります。
練らずにハンバーグを作ると、うま味の基となっている油や肉汁が流出してしまうことが確認されています。
練り方(練り具合)によって、焼き上がりの重量が変化するのです。
こねることによる挽き肉の変化
挽き肉をこねると、肉の構造が変化します。
ポイントは、筋原繊維タンパク質です。
筋原繊維タンパク質のアクチンとミオシンは、よく練られることによって糸状のアクトミオシンとなり、互いにつながって網目状になります。
この網目構造は、熱によって強い結合になります。
よく練られたハンバーグがジューシーになるのは、アクトミオシンによる網目構造が肉汁を閉じこめることによるものです。
練り具合によるハンバーグの味
練り具合(こね具合)には、影響力があります。
「練るほどによい」というわけではありません。
挽き肉をよく練ることでハンバーグはジューシーになりますが、その反面、粘りが強すぎて「肉が締まってしまう」というデメリットもあります。
- こね不足:肉汁が流れ出てしまう
- こね過ぎ:焼き上がりが硬くなる
よく練られた挽き肉は、硬くなるということです。
これは、好みによります。
しっかり締まったジューシーなハンバーグが好みであればよくこねますし、多少の肉汁を失っても柔らかめが好みであればこね具合を加減します。
塩を加えるタイミングによる違い
塩を加えるタイミングによっても、食感は変化します。
筋原繊維タンパク質は、食塩水によく溶けます。
練るときに塩を加えておくと、アクチンとミオシンが溶け出しやすくなるためにアクトミオシンの網目構造が密になります。(関連記事:ハンバーグのつなぎとは?)
- 塩を加えて練る:ジューシーで硬めの仕上がり
- 練ってから塩を加える:柔らかめな仕上がり
たかがタイミングですが、無視はできません。
しっかり締まったジューシーなハンバーグには「練る前」、多少の肉汁は失われるものの柔らかなハンバーグには「練った後」というのがポイントです。
まとめ
ハンバーグは、練り方によって味が変わります。
よく練る(または練る前に塩を加える)ことでジューシーで締まったハンバーグになり、あまり練らない(または練った後で塩を加える)ことで柔らかくなります。
最終的には、好みの問題です。