牛乳を温めると、膜が張ります。
膜の正体は、乳脂肪とタンパク質であり、60℃以上に加熱されることにより「脂肪球がくっついて大きくなり浮かび上がってくる」ことになります。
その際、一部のタンパク質も巻き込んで膜をつくります。
牛乳の膜は美味しくありません。
しかし、膜には「タンパク質全体の1/8」「脂肪の1/4」「灰分の1/6」を含みますので、栄養の面から見れば捨てることはおすすめできません。
ちなみに、この現象の名前は「ラムスデン現象」と呼ばれています。
牛乳に膜のできる温度
牛乳は、60~65℃で膜が張ります。
分散している乳脂肪の脂肪球は、直径5~10µです。
牛乳を加熱して60~65℃に達すると、脂肪球が互いにくっついて大きくなりますので(油と水の比重の違いによって)表面に浮かび上がってきます。
その際、脂肪球の層の間にタンパク質が入り込みます。
タンパク質の熱凝固温度には種類による違いがあり、カゼインと呼ばれるタンパク質は熱凝固しにくく、ホエイと呼ばれるタンパク質は熱凝固しやすいという特徴を持ちます。
膜をつくるのは、乳脂肪とホエイであるということです。
膜の成分と栄養価
膜の正体は、乳脂肪とタンパク質です。
牛乳のタンパク質は、大きく3種類に分けられます。
それが、牛乳のタンパク質の70~80%を占めるカゼインであり、残りがホエイ(アルブミンとグロブリン)と呼ばれるタンパク質です。
カゼインは熱凝固しにくいタンパク質です。
しかし、アルブミンとグロブリンは熱凝固しますので、加熱によって大きくなった脂肪球と共に浮かび上がって膜を形成してしまいます。
膜を捨ててしまうと「タンパク質の1/8が失われる」のは、膜の成分が「乳脂肪とタンパク質(アルブミンとグロブリン)」であるためです。
膜をつくらない温め方
牛乳に膜をつくらないためには、2つのポイントがあります。
- 60℃以上に温めない
- 混ぜながら温める
60℃以上に温めなければ、膜はできません。
一般的なホットミルクは55℃前後であり、自販機の缶コーヒーが55℃前後に設定されていることからも(基本的に)60℃以上に温める必要はありません。
また、混ぜることで膜はできにくくなります。
これは牛乳に膜ができるのは、「乳脂肪の脂肪球が大きくなってタンパク質を巻き込みながら浮かび上がってくる」ことであるためです。
混ぜ続けていければ、浮かび上がってくるのを避けられるというわけです。
まとめ
牛乳の膜は、乳脂肪とタンパク質です。
この膜は60~65℃以上でできやすくなる(65℃以上で顕著になる)ため、60℃以上に温めなければ膜が張ることはありません。
膜は美味しくありませんが、栄養価は高いと言えます。