ご飯を炊くことは難しくありません。
しかし、「美味しいご飯を炊く」ことにはいくつかのポイントがあり、お米を研ぐことは、美味しいご飯を炊くための最初のステップであると言えます。
お米は、研ぎ方によって味が変わります。
そもそも、米研ぎの目的は余分な糠を洗い流すことです。
米粒の表面には細かな糠分や汚れなどが付着していますので、それらの汚れを「できるだけ米粒に吸収させないように洗い流す」ことがポイントとなります。
また、米粒は繊細です。
硬度の高い米粒は「吸水」や「強すぎる研ぎ方」などによって割れたりひび割れが生じてしまい糊状のベチャベチャしたご飯になってしまうリスクがあります。
お米を研ぐという作業は、簡単なようで奥が深いのです。
お米の研ぎ方の手順
お米の研ぎ方には、いくつかのポイントがあります。
洗米の目的は、大きく2点です。
それが、「米粒に付着している余分な糠を洗い流すこと」と「米粒に(可能な限り糠を含まない水を)吸水させること」です。
- 米粒表面の糠や汚れを洗い流す。
- 米粒に(糠を含まない)きれいな水を吸わせる。
精白米(胚乳)には、縦方向の溝があります。
米ぬかは胚乳の溝に詰まっていますので、ザルを使わずに「米粒同士をこすり合わせるように研ぐ」ことがポイントとなります。
主な手順としては以下のようになります。

米をボウルに入れ、たっぷりの水を注ぎ入れたら数回かき混ぜて水を捨てます。すぐさま2回目の水を入れ、再び数回かき混ぜたら水を捨てます。

2回すすぎましたら米を研いでいきます。掌(親指の付け根の柔らかいところ)を使い「米をボウルの壁に押し当てるように米粒同士をこすり合わせる」ことで研いできます。1回につき30~40回ほど研ぐのが一般的です。

30~40回ほど研いだら水を注ぎ、軽くかき混ぜてから水を捨てます。研ぎの工程は2回(場合によっては3回)ほど繰り返します。水が透明になるまで研ぐ必要はありませんが、ある程度透き通るまで繰り返すことがポイントです。

研ぎ終わりましたら、ザルに上げて水気を切ります。
以上が、基本的な洗米の手順です。
ご飯を炊くためには、約30%の吸水が必要です。
そして1回目の洗米において約10%もの吸水がされてしまいますので、1回目の洗米は「たっぷりの水で数回かき混ぜたら素早く捨てる」ことがポイントとなります。
なお、約30%の吸水は、以下のような割り当てになっています。
洗米で20%(1回目で10%、2~5回目で20%)、浸漬(水につけておくか、ザル上げしておくこと)によって30%まで吸水させます。

鍋や内釜で研がないこと
洗米は、ボウルに移して行います。
鍋や内釜で研ぐのは良くありません。
吸水前の米粒は高い硬度を持ちますので、鍋や炊飯器の内釜で研いでしまうとコーティングを傷めてしまうことになります。
また、ザルもおすすめはできません。
ボウルにザルを重ねておけば「水切りが楽になる」というメリットは得られますが、米粒が割れやすくなってしまいますので、ザルを使わずに研ぐのがセオリーです。
ザルを使うのは、水切りの工程になってからです。
米粒が割れないように優しく研ぐ
米粒は、繊細で割れやすいものです。
前項では「硬度が高い」と書きましたが、硬度が高い(硬い)ということは割れやすい(亀裂が入りやすい)ということでもあります。
割れた米粒は、ベチャベチャな炊き上がりになります。
洗米の目的は、あくまでも余分な糠を洗い流すことです。
余分な糠は「米粒表面の縦方向の溝に詰まっている」ものですので、優しくこすり合わせるように洗うだけでも十分に取り除くことは可能です。
乾燥している米粒は、優しく扱わなければいけません。
真冬であってもお湯は使わない
洗米には、水を使わなければなりません。
わざわざ冷水にする(冷蔵庫で冷やす)必要はありませんが、真冬であっても給湯器のお湯を使って洗ってはいけません。
お湯で洗うと、ご飯が不味くなります。
- 糠臭いご飯になってしまう
- 米粒が割れてベチャベチャなご飯になってしまう
水温は、吸水スピードに影響します。
お湯を使って洗米してしまいますと、米粒が急速に吸水してしまうために「糠分の浸透」や「米粒の割れ」などのリスクが高まることになります。
どんなに寒い季節であっても、洗米は水で行わなければなりません。
まとめ
米の研ぎ方(洗い方)にはコツがあります。
それが「1度目は多量の水で2から3回かき混ぜる」「米を強く研がない(洗わない)」「米を研ぐ回数は3-4回」「水を使って研ぐ」などです。
小さな違いですが、味への影響力は馬鹿にできません。